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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
「…絶対に言いません!…それに…軽蔑なんてしません。…だって…貴方、すごく苦しそうだ…」
泉の言葉に、暁はゆっくりと瞬きをした。
「…苦しそう?」
「…ええ。…俺は男同士の恋愛とか良く分からないし…色々言える立場じゃないんですけど…人間て、そんなに白黒はっきりつけられることばかりじゃないんじゃないか…て…」
暁は瞳を見開いた。
…月城によく似た…しかし、無骨な一途な眼差しで泉は暁に語りかける。
「…別れたからって、いきなり嫌いになんかなれないだろうし…愛している人が出来たって、過去の恋が消える訳じゃない。…想いが残っても仕方ないんじゃないか…て…」
「…泉くん…」
暁の美しい瞳に涙が盛り上がるのを見て、慌てたように、噴水の石段に乱暴に腰掛ける。

「…べ、別に暁様を庇っている訳じゃないですけど…!…あ!だからって、俺は兄貴と貴方の恋を応援している訳じゃないし!」

暁はくすりと笑う。
そして、泉の隣に静かに座る。
「…応援、してくれないの…?」
わざと哀しげな眼差しで見上げてみる。
泉はどきりとし、咳払いした。
「応援…しなきゃならない義理はないし…」
暁がすっと泉の貌に貌を近づける。
異国の儚げな花のような薫りが漂い、心臓の鼓動が高鳴る。
「…泉くんは、僕が嫌い…?」
「…へ⁉︎な、なんでそうなるんだよ!」
「だって、僕が話しかけるといつもむすっとしているし…大抵怒っているし…」
「…べ、別に…嫌いじゃないけれど…」
「じゃあ、何?」
泉は雑に暁と距離を置いて座り直す。
「…あ、あんたといると何だか知らないけれど、落ち着かないんだよ。ドキドキするっつうか…何だかモヤモヤするっつうか…だから、普通でいられないの!」
暁は可愛らしい唇を尖らす。
「…ふうん…」
泉は頭を掻きながら、立ち上がる。
「とにかく!あんたは何も気にすることないから!あんたは悪くないし!堂々としていろよな」
暁はふっと微笑った。
…泉くんといると、月城といるみたいに気持ちが安らぐ…。
「俺はもう行くから。…サボッてたら生田さんに怒られる」
…じゃあな、と手を挙げ背を向けた泉に、そっと呟く。
「…泉くん…。ありがとう…」
泉が、一瞬立ち止まる。
振り返ろうとして…頭を振り、諦めた泉が屋敷に向かい歩き出す。

…が、その足は数歩で突然止まった。
暁は不審に思い、そちらの方向に首を巡らせた。

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