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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
暁は泉がいじらしくて堪らなかった。
愛した人が突然、目の前に現れた。
喜びも束の間、彼女から冷酷に別れの真実を告げられた。
…しかし、泉は彼女を恨まなかった。
寧ろ、彼女の幸せを気遣った。

「…君は…いい子だ。…きっと、すぐに素敵な人に巡り会えるよ…」
幼子を慰めるように背中を優しく撫でる。

…泉がゆっくりと、暁の胸の中から貌を上げる。
子供のように澄んだ一途な眼差しが暁を捉える。
暁は力づけるように微笑みかけて、乱れた前髪を直してやろうと手を伸ばした。

…不意にその手を握りしめられる。
…月城とは違い、熱い手だ…。
暁はぼんやりとそんなことを思った。
「…泉くん…?」

次の瞬間…
「…暁様…!」
低く呻くような声を発し、泉は燃えるような熱い眼差しで暁を見つめた。
そして、暁の貌を両手で荒々しく引き寄せ、唇を奪ったのだ。
「…んっ…!…せ…ん…く…」
暁が必死に抗う。
「…暁様…!…好きだ…あんたが…好きだ…!」
一度唇を離すと、熱く思いの丈を吐き出すように叫ぶ。
そして再び暁の華奢な身体を抱きすくめると、唇を重ねる。
「…んっ…だめ…せん…くん…!」
唇を塞がれ、必死に抵抗する。
しかし、泉の逞しい力には到底及ばない。
泉の熱い舌先が暁の白い歯列を押し開き、無理やり暁の薄い舌に絡めようとする。
「…んんっ…」
貌を抑えられ、抗えずに口内を蹂躙される。
…若い男の熱い舌に荒々しく翻弄され、暁はなすすべもなく弱々しく喘いだ。
泉は暁の甘い口内と滑らかな舌を情熱的に貪る。
「…あんたが好きだ…好きだよ…!」
泉の熱い囁きに陶酔の手前まで導かれ、暁の背筋の奥に甘い痺れが走る。

…しかし泉の貌を真近で見た瞬間、月城の面影が浮かんだ。
暁ははっと我に返り、渾身の力で泉を突き放す。
「…だめ…!泉くん!」
突き放され、泉は後手に手を突く。

泉も漸く我に返る。
そして、目を見開くと慌てふためき雷に打たれたかのように瞬時に立ち上がる。
「…ご、ごめん…ごめん!お、俺…どうかしてた…す、すみません!」
頭を深々と下げると、脱兎の如く駆け出した。

暁は震えるながら、座り込む。
…どうしよう…泉くんと…キスしてしまった…。
…唇が燃えるように熱い…。
震える指先で、そっと触れる。
甘い胸の痛みが走る。
…どうしよう…どうしよう…
暁はいつまでもその場から動けずにいた。


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