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第2章 初戀のひと

暁は開きかけた唇をぎゅっと閉じ、月城の胸に強く抱きついた。
「…抱いて…月城…」
「…暁様…？」
「抱いて…早く…！…お願いだから…」
月城は、戸惑うように静かに暁を抱きしめる。
「…ご体調がお悪い暁様にそのようなことはできません。貴方様は、ただでも体力がないのですから…」
気遣う優しさが辛い。
暁は堪らずに月城の首筋に腕を強く絡め、唇を重ねた。
…ひやりとした男の唇…。
…泉の熱い唇とは違う…。
そんな邪な考えを慌てて振り払うように暁は、自分から月城の形の良い唇を貪り、舌先で整った白い歯列をなぞる。
「…んっ…つきしろ…すき…！」
開いた歯列の隙間から舌先を差し入れ、肉厚な男の舌に舌を絡める。
最初は戸惑い、動かなかった月城だが暁の艶めいた甘い吐息と舌に堪えきれずに、荒々しく応え始める。
「…暁様…！」
ひんやりとした舌が暁の熱を帯びた舌を情熱的に絡め、千切れるほどに吸い立てる。
…月城のくちづけで泉のくちづけを上書きして欲しくて、暁は自分から男に馬乗りになり、尚も激しくくちづけをねだる。
「…んんっ…あ…ああ…もっと…もっと…して…」
月城は、暁の薄い舌を甘噛みしてやりながら、尋ねる。
「…どうされたのですか…？…今日の暁様はいつもと違いますね…」
戸惑う月城の美しい輪郭をなぞる。
「…君が欲しいんだ…今すぐに…」
「…暁様…」
暁は薄紅色の唇を月城の首筋に落とし、子猫のように噛み付く。
「…痛っ…！」
月城が小さく声を上げるのを上目遣いで見上げ、瞬きをする。
「…悪い子だ…」
月城が暁の艶やかな髪を優しく撫でる。

暁は月城に馬乗りになったまま、男のシャツの釦をひとつずつ外してゆく。
…なめし革のような美しい筋肉と皮膚に覆われた身体が現れる。

暁はその素肌に唇を落とし、身体をずらしてゆく。
暁の唇が、胸…腹部…と降りてゆき…白く華奢な手が月城のベルトの金具を外し、スラックスのジッパーを押し下げる。
「…暁様…？」
月城は端正な眉を顰めた。

…暁の手は止まらない。
スラックスの前を寛げ下着を押し下げると、既に硬く兆している月城の牡を取り出し、先端にそっとくちづけた。
…しかし、牡を持つ華奢な手は震えていた。

月城は穏やかに告げる。
「…ご無理をなさらなくて良いのですよ…」
暁は口淫が苦手だ。
月城が滅多に強いることはないので、未だに不得手だ。