この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
二人が漸く階段を降りきり、玄関ホールに着くと副執事の泉が待ち構えていた。
…背が高く、とても目を惹く端正な顔立ちだ。
家に遊びに来る女の子は皆、最初に応対に出る泉を見て必ず頬を赤らめるほどだ。

「薫様、皆様お待ちかねですよ。…暁人様、ありがとうございます」
…泉は暁人に如才ない笑顔を向け、薫には少し渋い貌をしてみせた。
けれど本気で怒っている訳ではないので、少しも怖くない。
…泉は薫には甘い。
薫がすることに意見をしたこともないし、母と対立していても必ずさり気なく薫を庇ってくれる。

…泉は僕のことが大好きだからな。
薫は得意げに泉に笑いかける。
そして、少し甘えるように見上げる。
「着替えに手間取った。…泉が着替えさせてくれないからだ」
泉は困ったように小さく笑う。
「…薫様はもう12歳ですから。…お着替えのお手伝いはメイドか下僕がいたします」
「…また僕が悪戯をされてもいいのか?」
形の良い唇に小悪魔な微笑みを浮かべると、泉は苦々しいような表情をした。
「あのメイドは…最低です!…けれどもうあのような不埒なメイドはおりませんのでご安心下さい」
「泉の方が着替えは上手いのに…だれよりも…」
薫のどこか媚びるような口調を聞いて、背後の暁人が少し腹立たしげに口を開いた。
「もう行くよ、薫!…これ以上、皆様をお待たせする訳にはいかない」
やや強引に手を握りしめ、引っ張って歩き出した。
泉は丁重にお辞儀をして二人を見送る。

「なんだよ、暁人」
「…薫は…泉には笑うんだな…」
「へ?…痛ッ!…」
薫の手が痛いほどに握りしめられる。
「…薫は…泉が好き…?」
「好きだよ」
あっさり答える薫に、暁人はもどかし気に口を開く。
「…じゃあ…泉と僕と…どちらが好き…?」
「…はあ?…何言ってるの?…泉は執事でお前は幼なじみだ。比べられないだろう」
「…じ、じゃあ…僕は…好き…?」
最後は蚊の鳴くような声だった。
…ははあ、こいつは僕が最近、怒ってばかりだから嫌われていると思っているんだな…。
薫は合点が行き、揶揄うように暁人の前に回り込み、わざと熱っぽく答えた。
「…大好きだよ、暁人…」
暁人の目が信じられないように見開かれ、整った貌が朱に染まる。
薫はにやりと笑った。
「…そんな言葉は女の子に言ってもらえ。お前ならよりどりみどりだろ?」
…暁人の表情が失望に変わる。



/954ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ