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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
薫は普段から大人びて動揺などしない暁人が赤くなったりしたので、胸がすくように気持ちが良かった。
「あはは…!なんだよ、その顔は!…暁人は星南の女子部の子達にも人気者なんだから、別にいいだろ?」
「薫!」
さすがにむっとした暁人が抗議の声を上げていると、庭園に面した回廊から優しく綺麗な声が聞こえた。
「…何をしているのかな?…この我儘坊っちゃまは…」
慌てて振り返る。
「…暁叔父様!」
薫は目を輝かせ暁に駆け寄り、抱きついた。
「叔父様!久しぶり!いつ日本に帰っていらしたの⁉︎」
叔父の暁は、二カ月ほどパリに海外出張に行っていた。
日本からパリに日本料理の店を出店する準備だ。
…暁からは異国の花めいた切ない薫りがいつも漂う。
パリの薫りなのかな…。
薫はうっとりしながら暁の胸に貌を埋める。

「…一昨日だよ。…薫、少し背が伸びたね。…ああ、暁人くん…。君は随分、大人っぽくなったな…。
…そして…お父様に似てきたね…」
しみじみするように暁人を見る暁は、どこか懐かしいような切ないような…不思議な表情をしていた。

…叔父様は本当に綺麗だ…。
僕の周りにはお母様を始めとして叔母様や学校や社交で知り合う綺麗な女の子達は沢山いるけれど、叔父様の美しさはそのどれとも違う異質なものだ…。
薫はうっとりと暁に見惚れた。

薫の背後から、暁人の驚いたような声が聞こえた。
「…暁小父様…薫にそっくりだ…」
暁がふわりと微笑んだ。
「…そう…?…よく言われるけど…また似てきたかな…」
薫は得意げに暁に抱きつく。
「僕、叔父様が大好きだから嬉しい!」
…昔はよく、兄弟と間違われた。
薫は綺麗でどこか神秘的な雰囲気を持つ暁が大好きだから、似ていると言われることが自慢だ。
…少なくとも、あの男勝りなジャンヌダルクのように勇ましい母に似ていると言われるよりは、ずっといい。
「ありがとう、薫。…さあ、皆んな君達を待ちかねているよ。…行こう…」
暁は優しく薫と暁人の肩を抱きながら、庭園へと導いた。
…綺麗で優しくてどこか不思議な雰囲気の叔父…。
暁といると、鬱陶しい現実を忘れられる…。
ふと眼差しをくれると、暁人もうっとりしたような表情で暁を盗み見ていた。

薫は小さく笑った。
…やっぱり暁人でも綺麗な人には弱いんだな…。

薫は暁にしがみつくようにして、軽い足取りで皆が待つ庭園に向ったのだった。
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