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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「おとうちゃま!菫、おとうちゃまとお食事する!」
菫は礼也の膝の上によじ登る。
光が窘める。
「…菫、自分のお椅子にお座りなさい」
「まあまあ、いいじゃないか。今日は内輪の会だし…」
礼也は菫の柔らかな頬に愛しげにキスをする。
菫はまだ3歳ながら光似の大変な美少女だ。
ミルクのような白い肌、形の良い眉、長い睫毛、琥珀色のやや猫めいた瞳、すんなりした鼻筋、珊瑚色の唇、黒い絹糸のような美しい髪…。
妻の光を熱愛している礼也が、菫を溺愛しているのも無理からぬことであった。

礼也の隣の席の大紋の妻、絢子が微笑みながら菫を見つめた。
「…菫ちゃんの可愛らしいこと…。…羨ましいですわ…」
光が優しく絢子に話しかける。
「うちも二人目はなかなかできなかったわ。…絢子さんも諦めないで…」
普段から絢子の悩みを聞いているような口ぶりの光だった。
「…ええ…。そうですわね…」
絢子は頷きながらも、淋しげに俯いた。
そんな絢子に隣の大紋はさりげなく明るく言った。
「…子どもは神様からの授かりものだ。…うちはもう暁人という可愛い息子がいるのだから、いいじゃないか」
絢子は大紋を見上げ、何か言いたげな表情をしたがすぐに静かな微笑みでそれを隠した。
「…ええ、分かっておりますわ…」

…大紋絢子は、華やかな美人の綾香や光、そして、臈丈たやんごとない美貌の梨央などと比べると決して目立つ存在ではないが、若々しくとても可愛らしく充分魅力的な女性だ。
何よりいつも控えめで大人しげで暁人にも優しい物言いをしているところしか見たことがない。
…暁人はいいなあ…あんなに優し気で物静かなお母様で…。
お母様とは大違いだ…。
薫はクリーム色に小花が散った清楚なドレスを身につけた絢子を見る。
…その拍子に袖が銀のカトラリーに触れ、派手な金属音がして、フォークが床に落ちた。

光が恐ろしい山猫のような目をして薫を睨んだ。
…別にわざとじゃないのに…。
薫は口をへの字に曲げて、肩をすくめて見せた。
光は頭を振りながらため息を吐いた。
そして、マナーブックのお手本みたいな所作で、ビシソワーズスープを口に運ぶ暁人を見て、思わず呟いた。

「…私は絢子さんが羨ましいわ。…暁人くんみたいに礼儀正しくて素直な息子がいて…うちの薫ときたら…お行儀は悪いわ、反抗的だわ…ほとほと手を焼いているのよ」






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