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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
薫は露骨にむっとした貌を光に向ける。
光は構わず暁人に尋ねる。
「ねえ、暁人くん。…うちの薫は学校ではどう?前に授業態度が悪すぎる…て担任の先生からお電話をいただいたことがあるのよ。一体何をしているのかしら?」
暁人は困ったように、曖昧に笑った。
「…いえ…そんなことは…」
苛立った薫は腹立たし気に言い放つ。
「はっきり言えよ、暁人。…数学の教師のポケットにカエルを入れたり、英語の教師の鞄の中にカエルを入れたりしたってさ!…だって、あいつらやたら口うるさいし気取っていて感じ悪いんだもん!いけすかないからちょっと揶揄ってやったんだよ!」
「…カエル…」
光が放心したように呟く。
礼也が弾けるように笑い出す。
「どこかで聞いた話だ!…ああ…全く、間違いなく薫は君に似たのだな、光さん」
梨央が可笑しそうに笑いながら、光の腕に手を添える。
「光お姉様、薫くんはお姉様に似て自由闊達なのよ。…あんまり煩く仰ったら可哀想だわ」
「そうよ、光さん。…薫くんの反抗心は私は嫌いじゃないわ。学校で教師にいたずらを仕掛けるなんて大したものだわ」
隣の綾香が華やかな美貌で感心したように目を細める。
「おにいちゃま、すごいのね!カエルさん捕まえられるのね!」
菫が無邪気に声を上げると、薫に寄り添っていたカイザーが嬉しそうに高らかに遠吠えを上げた。
一同はどっと笑い転げ、雰囲気ががらりと変わる。
さすがの光も苦笑しながら、菫を抱き上げる。
「…そうね、カエルさんを捕まえられるのはすごいことよね。あれは意外にすばしっこいから…ね」
礼也は光の額にキスをして、優しく宥める。
「…薫は君に似て、反骨精神があるのさ。…温かく見守ろうじゃないか」
父はいつも薫の良いところを見つけて褒めてくれる。
だから薫は父が大好きだ。
…それにしても、お母様のカエル…てなんだ?
薫はちょっと小首を傾げる。
ふと下から熱い視線を感じ目を落とすと、カイザーが誇らし気に薫を見ていて鼻を鳴らした。
薫はこの小さな親友の首筋をわしゃわしゃと撫で、いたずらっぽく囁いた。
「…どうだ?尊敬した?カイザーはカエルが大嫌いだもんな」
漸く笑顔を見せた薫を暁は優しく見つめた。
…そして少し遠くに目を遣り、誰かを見つけたのか…そっとこの上なく愛しげな微笑みを送ったのだった。
光は構わず暁人に尋ねる。
「ねえ、暁人くん。…うちの薫は学校ではどう?前に授業態度が悪すぎる…て担任の先生からお電話をいただいたことがあるのよ。一体何をしているのかしら?」
暁人は困ったように、曖昧に笑った。
「…いえ…そんなことは…」
苛立った薫は腹立たし気に言い放つ。
「はっきり言えよ、暁人。…数学の教師のポケットにカエルを入れたり、英語の教師の鞄の中にカエルを入れたりしたってさ!…だって、あいつらやたら口うるさいし気取っていて感じ悪いんだもん!いけすかないからちょっと揶揄ってやったんだよ!」
「…カエル…」
光が放心したように呟く。
礼也が弾けるように笑い出す。
「どこかで聞いた話だ!…ああ…全く、間違いなく薫は君に似たのだな、光さん」
梨央が可笑しそうに笑いながら、光の腕に手を添える。
「光お姉様、薫くんはお姉様に似て自由闊達なのよ。…あんまり煩く仰ったら可哀想だわ」
「そうよ、光さん。…薫くんの反抗心は私は嫌いじゃないわ。学校で教師にいたずらを仕掛けるなんて大したものだわ」
隣の綾香が華やかな美貌で感心したように目を細める。
「おにいちゃま、すごいのね!カエルさん捕まえられるのね!」
菫が無邪気に声を上げると、薫に寄り添っていたカイザーが嬉しそうに高らかに遠吠えを上げた。
一同はどっと笑い転げ、雰囲気ががらりと変わる。
さすがの光も苦笑しながら、菫を抱き上げる。
「…そうね、カエルさんを捕まえられるのはすごいことよね。あれは意外にすばしっこいから…ね」
礼也は光の額にキスをして、優しく宥める。
「…薫は君に似て、反骨精神があるのさ。…温かく見守ろうじゃないか」
父はいつも薫の良いところを見つけて褒めてくれる。
だから薫は父が大好きだ。
…それにしても、お母様のカエル…てなんだ?
薫はちょっと小首を傾げる。
ふと下から熱い視線を感じ目を落とすと、カイザーが誇らし気に薫を見ていて鼻を鳴らした。
薫はこの小さな親友の首筋をわしゃわしゃと撫で、いたずらっぽく囁いた。
「…どうだ?尊敬した?カイザーはカエルが大嫌いだもんな」
漸く笑顔を見せた薫を暁は優しく見つめた。
…そして少し遠くに目を遣り、誰かを見つけたのか…そっとこの上なく愛しげな微笑みを送ったのだった。