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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
テーブルにメインの子羊の香草焼きがサーブされる頃、話題は暁のパリの話になった。
青春時代をパリで過ごした光は興味津々に色々と質問を投げかけた。
「…オペラ・ガルニエには行かれた?あの近くのアパルトマンに住んでいたのよ、懐かしいわ…」
暁は静かに微笑む。
「はい。風間先輩に案内していただいて、フィガロの結婚を観劇しました。やはり本場のオペラは違いますね」

向かい側に座る大紋が、懐かしそうに声を上げる。
「風間くんか…!…懐かしいな…」
大紋の高めの温度を含んだ眼差しが暁を捉える。
…遠い昔の記憶を手繰り寄せているような眼差しだ。
暁はそれを柔らかく受けとめつつ、さりげなく逸らしながらテーブルの皆に話しかけた。
「…ええ。風間先輩も一昨年、パリにオテル・カザマをオープンさせたのです。とても盛況で人気のホテルになりつつあるそうです。風間先輩は日本人で初めてオテル・リッツのゼネラルマネージャーになられたのち、ご自分のホテルを立ち上げられたのです。
…素晴らしい才能だと思います」

…暁はパリで再会した風間を思い出した。
「…やあ!暁!久しぶりだ。…相変わらず綺麗だね…。
…いや、昔より更に色気が増して凄みが出てきたな…。
…君を見ると、俺は結婚したことを少し後悔するよ…」
昔と少しも変わらないやや色悪めいた雰囲気と洗練された美貌は歳を重ね、成熟した大人の男の色気を醸し出していた。
「…風間先輩…相変わらずですね…」
「…忍と呼んでくれ、暁…」
…熱く見つめられながら、しなやかに唇を奪われたことは二人だけの秘密だ…。

何か物思いに耽る暁はドキドキするほどに綺麗で、薫は思わずナイフをマイセンの皿の縁に派手に当ててしまい、再び光に睨まれた。

「…風間先輩は今や二児の父親です。ご長男の司くんは18歳になられて、ソルボンヌ大学に入学されたそうです。…風間先輩似の美しい青年でした…」

ブローニュの森の近く…16区の高級住宅街にある風間の邸宅は広々として素晴らしく洗練されたものだった。
晩餐に招待され、家族を紹介されたのだが、成長した司の美しさと陽気な魅力には思わず魅せられてしまった暁であった。

「…お久ぶりです、暁さん。…ああ、思い出した!貴方のご自宅でアップルパイを食べて、面白いおじさん達と遊んだんだ!」
司はあの緊迫の一夜を屈託なく思い出し、無邪気に笑った。





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