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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…そうか…。風間くん一家は幸せそうで何よりだな」
礼也は安堵したように頷いた。
テーブルでは暁が買い付けてきたフランス産のチーズが切り分けられている。
器用にそれらの一切れを皿に乗せながら、大紋が尋ねた。
「風間のご両親とは相変わらずなのか?」
駆け落ちをした忍を父親は烈火のごとく怒り、勘当を言い渡した。
暁は注がれたシャンパンを口運びながら答えた。
「それが最近はさすがにお年を召したせいかめっきり弱気になられて、帰って来てほしいと懇願されているそうです。…司くんと瑠璃子ちゃんのお写真を送るととても喜ばれるそうで。…司くんも大学生になったので、来年辺り彼だけでも一時帰国されるそうですよ」

…「…僕は日本の文化や美術に大変興味があるんです。日本の大学にも留学してみたいな」
一緒に晩餐を摂りながら、司が美しい貌を輝かせて暁に夢を語ったのだ。
「それは素晴らしい。もし帰国されたら風間のご両親も喜ばれるだろうしね。…僕も色々と協力するから、帰国が決まったら連絡をくれ」
司は目を輝かせた。
「本当ですか?じゃあ、暁さんのお家にホームステイさせて下さいますか?」
海外育ちの司は屈託がない。
風間がすかさず窘めた。
「こら、司。暁は独身なんだぞ。少しは遠慮ってものをしなさい」
暁は和かに笑った。
「僕の家は小さいからね。…松濤の本家なら広いし、甥っ子や姪っ子がいて賑やかだよ。
兄に話しておく。兄や義姉は客人好きだから喜ぶはずだ」
司は
「…ふうん…。暁さんと暮らしてみたかったんだけどな。…昔、僕にアップルパイを食べさせてくれて優しく遊んでくれたでしょう?…なんて綺麗な人なんだろう…て、子供心にうっとりした記憶があります。…お母様に似ているからかな…」
風間に良く似た艶っぽい眼差しで見つめられ、暁は一瞬どきりとした。
風間が少しむっとしたように咳払いをした。
「…とにかく暁の家はダメだ。…ホームステイするなら縣のご本家だ。…私からお願いしておく」
司はもうそれ以上は何も言わず、暁に人好きする瞳でウィンクをして見せた。
暁はそっと微笑み返した。

…忍さんとは実の親子ではないのに、なんだか良く似ているな…。

…そんなことを思い出した暁は可笑しくなり、そっと笑った。
大紋が不思議そうな貌をして暁を見る。
「…いえ、…司くんはなかなか面白い息子さんでしたよ」
…そう答えたのだった。
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