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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

庭園での食事が済むと、綾香と梨央は音楽室でミュージックサロンの準備をしに行く。
綾香の歌声は本当に伸びやかで自由で明るい。
梨央のピアノの音色も美しく優しく、心に染みる。
二人の唄とピアノを薫はとても楽しみだった。
礼也と大紋はビリヤード室に場所を移し、一局戦わせに行った。
ビリヤードをしながら葉巻やブランデーを愉しむのだ。
…大人の男って、いちいち面倒くさい趣味があるんだな…。
父親と大紋の夏の正装を着こなした西洋人並みに堂々とした体躯の後ろ姿を少し眩しげに見送る。
光は絢子を居間に誘い、お茶を用意させる。
…どうせ僕の愚痴を、絢子小母様に話すんだろうな…。
母親の最新流行の白い麻の美しいドレス姿をちらりと見ながら溜息を吐く。
…暁人が品行方正、成績優秀だからやりづらいったらありゃしないよ。
「暁人くんは学校の成績も良くて、スポーツも万能で…何より礼儀正しくて素直で、本当に羨ましいわ…」
…もはや空で言える程の母親の口癖だ。
薫は頭は良いのだが、好きな教科と嫌いな教科との偏りがあり過ぎる…と指摘されていた。
何より教師達に反抗する問題児…。
それが、学校側の薫の評価だ。
「…どうして貴方は暁人くんみたいに礼儀正しく、素直になれないの?全くもう…頭が痛いわ…」
…最近は貌を合わせると喧嘩になるから、母親のことが本当に苦手だ。
…お母様は僕なんかより、良い子の暁人が息子だったら良かったのに…て思っているんだろうな…。
僕だって、絢子小母様みたいに優しい人がお母様だったら良かったよ。…お互い様さ!
中っ腹になっている薫の足元に、遊んで欲しそうにカイザーが擦り寄る。
カイザーはとても人懐こいが、一番に懐いているのは薫だ。
薫はカイザーを抱き寄せる。
「…よし、カイザー。裏庭でボール遊びをしよう!」
カイザーは嬉しそうに吠えた。
暁人は菫にまとわりつかれ、噴水の水辺で遊んでやっている。
菫は時々意地悪をしたり、ちょっかいを出す薫と違い、ひたすら優しく辛抱強く遊んでやる暁人が大好きだ。
…菫の相手は暁人に任せていいや…。
ナニーもいるし、僕がいなくてもいいだろう…。
何だか色々とあった昼食ですっかり気くたびれた薫は、カイザーと二人そっとその場を離れたのだった。
綾香の歌声は本当に伸びやかで自由で明るい。
梨央のピアノの音色も美しく優しく、心に染みる。
二人の唄とピアノを薫はとても楽しみだった。
礼也と大紋はビリヤード室に場所を移し、一局戦わせに行った。
ビリヤードをしながら葉巻やブランデーを愉しむのだ。
…大人の男って、いちいち面倒くさい趣味があるんだな…。
父親と大紋の夏の正装を着こなした西洋人並みに堂々とした体躯の後ろ姿を少し眩しげに見送る。
光は絢子を居間に誘い、お茶を用意させる。
…どうせ僕の愚痴を、絢子小母様に話すんだろうな…。
母親の最新流行の白い麻の美しいドレス姿をちらりと見ながら溜息を吐く。
…暁人が品行方正、成績優秀だからやりづらいったらありゃしないよ。
「暁人くんは学校の成績も良くて、スポーツも万能で…何より礼儀正しくて素直で、本当に羨ましいわ…」
…もはや空で言える程の母親の口癖だ。
薫は頭は良いのだが、好きな教科と嫌いな教科との偏りがあり過ぎる…と指摘されていた。
何より教師達に反抗する問題児…。
それが、学校側の薫の評価だ。
「…どうして貴方は暁人くんみたいに礼儀正しく、素直になれないの?全くもう…頭が痛いわ…」
…最近は貌を合わせると喧嘩になるから、母親のことが本当に苦手だ。
…お母様は僕なんかより、良い子の暁人が息子だったら良かったのに…て思っているんだろうな…。
僕だって、絢子小母様みたいに優しい人がお母様だったら良かったよ。…お互い様さ!
中っ腹になっている薫の足元に、遊んで欲しそうにカイザーが擦り寄る。
カイザーはとても人懐こいが、一番に懐いているのは薫だ。
薫はカイザーを抱き寄せる。
「…よし、カイザー。裏庭でボール遊びをしよう!」
カイザーは嬉しそうに吠えた。
暁人は菫にまとわりつかれ、噴水の水辺で遊んでやっている。
菫は時々意地悪をしたり、ちょっかいを出す薫と違い、ひたすら優しく辛抱強く遊んでやる暁人が大好きだ。
…菫の相手は暁人に任せていいや…。
ナニーもいるし、僕がいなくてもいいだろう…。
何だか色々とあった昼食ですっかり気くたびれた薫は、カイザーと二人そっとその場を離れたのだった。

