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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
…その夜、薫は何度も寝返りを打ち寝台の天蓋を見つめ、羊の数を1057まで数えたが、それでもとうとう眠気が訪れず諦めの溜息を吐きながら、起き上がった。

…昼間見た暁叔父様と月城のキスが、頭から消えない…。
…嫌な感情ではない。…だから余計に悩ましいのだ。

男同士が恋愛をし、キスをしたりそれ以上の行為をすることをませた薫は知識では知っていた。
薫が通う星南学院は男子校で、小・中・高等部と一貫教育が為されている。
英国の名門パブリックスクール・イートン校が姉妹校だ。
従って下級生が特定の上級生の世話係になり、日常の世話を焼くこと、公式な祝典やミサなどの際には上級生のローブの準備、その靴をぴかぴかに磨き上げることなどが義務付けられていた。
他の上級生よりは密な関係になることからか、その関係性は濃密で、従って二人の間に恋愛めいたものが生まれる場合があった。
薫も、広い学院の図書室の影や礼拝堂の片隅で密かにキスをする上級生と下級生を見たこともある。
しかし他人に興味がない薫は、それらが手に止まったてんとう虫ほどの興味もなかった。

薫はまだ中等部に上がったばかりだが、小等部の頃からその抜きん出た美貌は上級生の間から噂されるほどであったから、薫を世話係にしたい上級生は星の数ほどにいた。水面下で誰が薫を世話係にするかという駆け引きまで行われていたほどだ。
だが薫は例の反骨精神から
「僕は誰の世話係にもならない」と宣言した。
当然、上級生達は気色ばみ、薫に詰め寄りに行こうとするものまで現れた。
「…まあいいじゃないか。…誰のものにもならない気の強いかぐや姫を我々皆で愛でるのも、一興さ」
と、周りを宥めたのは高等部二年の生徒会執行部のメンバーの一人で馬術部の部長の鷹司紳一郎だった。
彼は文武両道に長け、その上に容姿端麗で人望に厚かったので、鶴の一声に周りは粛々と従った。

危うく上級生に吊るし上げられるところを鷹司により回避されたというのに、薫は彼に礼すらも言わなかった。
「別に僕があんたに頼んだ訳じゃないから」
と、寧ろ睨んで見せた。

息を飲む周りをよそに、鷹司は
「…気の強いかぐや姫はそうでなくちゃ…!」
と可笑し気に笑い、薫の頭を撫でウィンクしてみせたのだ。

…それからは何となく、他の上級生よりは鷹司との距離が近い…程度の仲にはなったのだ。

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