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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
二人は和やかに食事を始めた。
月城の作る料理は本当に美味しい。
暁はパリでの連日続く濃厚なフランス料理に食傷気味だったので、月城の手料理に箸が進んだ。

パリでの話、月城の近況の話などを楽しげに交わしたのち、夏の休暇の話になった。
「今年の夏は楽しみだ。…北白川のお家と縣の家が同時期に軽井沢で休暇を過ごせるんだね」
暁が瞳を輝かせ、声を弾ませた。
月城はそんな暁を優しく見つめた。
「…ええ、綾香様と梨央様も今年の夏は軽井沢でゆっくり過ごされたいと仰られて…東京でのご予定は全てキャンセルなさったのです」
「僕も兄さんが、パリで二カ月働きづめに働いていただろうから、軽井沢の別荘で暫く英気を養いなさい…て…命令だって」
暁は嬉しそうに笑った。
「…君と毎日、会える。…一か月も…近くにいられる…」
北白川家と縣家の別荘は目と鼻の先だ。
しかも別荘では綾香と梨央は休養を目的としているので、執事の月城の仕事も比較的緩やかだ。
毎日、貌を見にいくことも出来る。
子どものように無邪気に喜ぶ暁が愛おしい。
…が、月城にはひとつ気懸りがあった。

「…大紋様ご一家も、同じ時期に軽井沢の別荘にいらっしゃるとお伺いしました…」
さりげなく口にした月城に暁は、一瞬躊躇いつつも微笑みながら答えた。
「…そう、薫と暁人くんが同級生だから。
一緒の時期がいいだろう…ということになったらしい。…二人でお互いの家に泊まり合うそうだよ…。
薫は少し気難しいところがあるんだけれど、暁人くんには甘えたり我儘を言ったりしている。
…あれで結構、頼りにしているのかもね」
薫と暁人が同じ学校、同級生ということで、縣家と大紋家は今や家族ぐるみの付き合いだ。
子ども達が別荘に泊まり合うなど、ごく当たり前のことだろう。
「…そうですね。お二人は仲良しでいらっしゃるのでしょう…」

暁は穏やかな微笑みを浮かべる月城をじっと見つめ、箸をそっと置いた。
「…もしかして、何か心配している?」
「…いいえ、暁様…」
何か言おうとする月城の手を暁はそっと握り締める。
「…月城、春馬さんのことなら何も心配しないで。…僕が愛する人は君だけだ…」
月城もまた暁を見つめ返し、手を重ねた。
「暁様…」
…月城の、愛しているという言葉は暁の唇に愛の吐息と共に送り込まれたのだった…。


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