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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

大紋春馬が玄関ホールを背に、洗練された…しかし適度にラフなスタイルの服装で現れた。
やや長めの洒落た髪型や、知的で端正に整った顔立ちや、すらりとした長身に引き締まった体躯は昔と少しも変わらず…暁は一瞬彼を見つめ、胸の奥が少しだけ甘く痛んだ。
大紋は暁を高めの温度を感じさせる眼差しで見つめ、微笑った。
「…暁…うちの別荘に来るのは久しぶりだね…。
20年近く来ていなかったからね…」
暁の睫毛が震える。
「…え、ええ…」
…昔…この男に、生まれて初めて抱かれたのは…この別荘だった…。
…遥か昔のことだ。…振り返る必要もない…。
…思い出してはならない。
瞼を伏せた暁を、大紋はじっと見つめる。
「お母様!薫を部屋に案内していい?」
暁人が無邪気に尋ねる。
「ええ、もちろんよ。…お母様もいくわ。
…あなた、暁様を客間にご案内してくださいね」
絢子が大紋に言うと、暁には笑顔で会釈してみせた。
「ごゆっくりしていかれて下さいね。…お庭でランチを召し上がっていただこうと、準備しておりますの。…今日はお天気で良かったですわ」
「ありがとうございます」
暁人が珍しくはしゃいで絢子を急かす。
「お母様!早く早く!」
「はいはい、今いきますよ…。まあ、暁人さんたら、薫さんがいらしたらすっかり喜んで…」
優しい絢子はにこにこしながら、二階に駆け上がる二人を追いかける。
メルセデスから薫の荷物を降ろした下僕が、一礼しながら大紋と暁の傍らを通り抜け、二階に荷物を運ぶ。
…広い玄関ホールは二人きりになった。
ぎこちない空気が流れる。
それを紛らわす為に、玄関ホールを見回した暁は、はっと眼を見張る。
…天井の明り取りの窓…。
ステンドグラス…。
…遠い昔…、ここで大紋に激しく抱かれた…。
変わっていない屋敷の中の様子に、否が応でも昔の記憶が蘇る。
…思い出してはだめだ…。
脳内の甘く淫らな記憶を振り払おうと、無意識に首を振る暁に、思わぬ近さで大紋が囁く。
「…覚えているかい…?…君をここで…獣のように抱いた…」
暁は気色ばみ、硬い表情で男を見上げる。
「やめてください。…そんなことをここで…」
…絢子は二階にいるとはいえ、いつ顔を出すか分からない。
使用人もたくさんいるのに…。
暁は思わず、大紋から距離を取る。
やや長めの洒落た髪型や、知的で端正に整った顔立ちや、すらりとした長身に引き締まった体躯は昔と少しも変わらず…暁は一瞬彼を見つめ、胸の奥が少しだけ甘く痛んだ。
大紋は暁を高めの温度を感じさせる眼差しで見つめ、微笑った。
「…暁…うちの別荘に来るのは久しぶりだね…。
20年近く来ていなかったからね…」
暁の睫毛が震える。
「…え、ええ…」
…昔…この男に、生まれて初めて抱かれたのは…この別荘だった…。
…遥か昔のことだ。…振り返る必要もない…。
…思い出してはならない。
瞼を伏せた暁を、大紋はじっと見つめる。
「お母様!薫を部屋に案内していい?」
暁人が無邪気に尋ねる。
「ええ、もちろんよ。…お母様もいくわ。
…あなた、暁様を客間にご案内してくださいね」
絢子が大紋に言うと、暁には笑顔で会釈してみせた。
「ごゆっくりしていかれて下さいね。…お庭でランチを召し上がっていただこうと、準備しておりますの。…今日はお天気で良かったですわ」
「ありがとうございます」
暁人が珍しくはしゃいで絢子を急かす。
「お母様!早く早く!」
「はいはい、今いきますよ…。まあ、暁人さんたら、薫さんがいらしたらすっかり喜んで…」
優しい絢子はにこにこしながら、二階に駆け上がる二人を追いかける。
メルセデスから薫の荷物を降ろした下僕が、一礼しながら大紋と暁の傍らを通り抜け、二階に荷物を運ぶ。
…広い玄関ホールは二人きりになった。
ぎこちない空気が流れる。
それを紛らわす為に、玄関ホールを見回した暁は、はっと眼を見張る。
…天井の明り取りの窓…。
ステンドグラス…。
…遠い昔…、ここで大紋に激しく抱かれた…。
変わっていない屋敷の中の様子に、否が応でも昔の記憶が蘇る。
…思い出してはだめだ…。
脳内の甘く淫らな記憶を振り払おうと、無意識に首を振る暁に、思わぬ近さで大紋が囁く。
「…覚えているかい…?…君をここで…獣のように抱いた…」
暁は気色ばみ、硬い表情で男を見上げる。
「やめてください。…そんなことをここで…」
…絢子は二階にいるとはいえ、いつ顔を出すか分からない。
使用人もたくさんいるのに…。
暁は思わず、大紋から距離を取る。

