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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

怯えたような暁の眼差しを受け、大紋は哀しげに口を開いた。
「…すまない。…君を見るとつい、昔のことが昨日のことのように思い出されてしまうのだ…。
…君は昔と少しも変わらない…。いや、年を経るごとに美しく色香を増してゆく…」
切ない瞳は暁を捉えて離さない。
暁は大紋の熱い言葉を振り払うように毅然と告げる。
「…そのようなことを仰ってはなりません。…春馬さんには絢子さんがいらっしゃるのですよ。…そして僕には月城がいます。僕は、月城を愛しています。それが今の僕なのです」
大紋は寂しそうに頷き、詫びる。
「…そうだ。君は月城と相思相愛の仲だ。…分かっているよ。…嫌というほどに…。…すまなかったね。…暁、僕はいくつになっても君を忘れられないのだ。情けない男だな…」
自嘲的に笑い、そして…
…許してくれ…と真摯に謝られ、暁は言葉を失う。
…この人を嫌いになれたら、僕はどれだけ楽になれるだろうか…。
嫌いになれないから…辛い。
憎めないから…辛い。
暁は大紋を見上げる。
大紋は自分の気持ちに踏ん切りをつけるように、明るく笑った。
「…もう君を困らせるようなことは言わないよ。
…だから、この夏はただの古い友人として楽しく過ごそう。…度々、ここに遊びに来てくれ。皆で一緒にテニスや乗馬や…様々なことをして楽しい思い出を作ろう。
…薫くんも暁人も喜ぶ」
…古い友人として…
そうなれたらどんなに良いだろうか…。
暁は思う。
大紋は人柄も知性も容姿も全てが素晴らしい尊敬に値する人物だからだ。
暁は心の折り合いをつけ、微笑んだ。
「…わかりました。…薫共々、よろしくお願いします」
その言葉を聞き、男は嬉しそうに笑った。
…その笑顔は出会った頃の大紋が透けて見え、暁の胸は再び仄かに痛んだのだった。
「…すまない。…君を見るとつい、昔のことが昨日のことのように思い出されてしまうのだ…。
…君は昔と少しも変わらない…。いや、年を経るごとに美しく色香を増してゆく…」
切ない瞳は暁を捉えて離さない。
暁は大紋の熱い言葉を振り払うように毅然と告げる。
「…そのようなことを仰ってはなりません。…春馬さんには絢子さんがいらっしゃるのですよ。…そして僕には月城がいます。僕は、月城を愛しています。それが今の僕なのです」
大紋は寂しそうに頷き、詫びる。
「…そうだ。君は月城と相思相愛の仲だ。…分かっているよ。…嫌というほどに…。…すまなかったね。…暁、僕はいくつになっても君を忘れられないのだ。情けない男だな…」
自嘲的に笑い、そして…
…許してくれ…と真摯に謝られ、暁は言葉を失う。
…この人を嫌いになれたら、僕はどれだけ楽になれるだろうか…。
嫌いになれないから…辛い。
憎めないから…辛い。
暁は大紋を見上げる。
大紋は自分の気持ちに踏ん切りをつけるように、明るく笑った。
「…もう君を困らせるようなことは言わないよ。
…だから、この夏はただの古い友人として楽しく過ごそう。…度々、ここに遊びに来てくれ。皆で一緒にテニスや乗馬や…様々なことをして楽しい思い出を作ろう。
…薫くんも暁人も喜ぶ」
…古い友人として…
そうなれたらどんなに良いだろうか…。
暁は思う。
大紋は人柄も知性も容姿も全てが素晴らしい尊敬に値する人物だからだ。
暁は心の折り合いをつけ、微笑んだ。
「…わかりました。…薫共々、よろしくお願いします」
その言葉を聞き、男は嬉しそうに笑った。
…その笑顔は出会った頃の大紋が透けて見え、暁の胸は再び仄かに痛んだのだった。

