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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「わあ!見晴らしがいいなあ!」
薫は案内された部屋の窓から外の景色を見て、歓声を上げた。
青い空の下には緑生い繁る浅間山が見える。
眼下に広がる庭園は広々として、絢子が丹精を込めて造りあげているという英国式庭園の夏の薔薇が美しく咲き誇っていた。
奥にはテニスコートまである素晴らしい別荘だ。
資産家の大紋家は爵位こそないが、下手な貴族の家よりよほど貴族的な暮らしぶりをしているのだった。

「いい眺めだろう?薫に見せたくて、ここを君の部屋にしたんだ」
暁人が隣に来て微笑った。
「カイザーも連れて来て良かったのに」
カイザーは薫の別荘に置いてきた。
動物好きの暁人はカイザーが大好きだ。
だから本当は連れて来たかったのだが、光が…
「お泊りに伺うのに犬を連れて行くなんで非常識ですよ。…それに…カイザーはどうせまた蝶々を追いかけて行方不明になって大紋さんのおうちにご迷惑をおかけするのは目に見えているわ」
…と、反対されたのだ。
大好きなカイザーを馬鹿にされた薫はむっとした。
仕返しにわざと音を立ててグラスのジュースをストローで啜り、更に光に叱られたのだが…。

「連れていらして良かったのよ?私も犬は大好きなの。…今からカイザーを連れて来る?」
メイドに薫の荷物の荷解きを指示しながら、絢子は気を遣ってくれた。
「ありがとうございます。でも大丈夫です。…暁叔父様が世話をして下さるから…」
…絢子小母さまは本当に優しいなあ…。
お母様とは大違いだ。
薫は羨ましくてならない。

「…暁様…」
ふと絢子はなんとも言えない切なげな表情をした。
「…本当にお綺麗な叔父様ね…。…男性にお綺麗なんて失礼かも知れないけれど…他に申し上げる言葉が見当たらない位にお美しくて…昔からちっともお変わりにならないわ…」

薫は絢子の言葉を聞いてどきりとした。
…暁と月城の激しいくちづけを不意に思い出したのだ。
暁人も同じことを思い浮かべたのか、少しどぎまぎし、話題を逸らすように絢子に話しかけた。
「お母様、後は僕が荷解きを手伝うから大丈夫だよ」
絢子はにっこり笑った。
「そう?ではお願いね。…お支度が終わったら下にいらっしゃい。お庭で昼食にいたしましょう。…今日はデザートにフランボワーズのアイスクリームがあるのよ。お楽しみにしていてね」
朗らかに囁くと、絢子はメイドと共に部屋を出た。



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