この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
二人きりになると、薫は広々とした立派なマホガニーの寝台に飛び込んだ。
幼馴染みの家に暫く泊まれる楽しさと、煩い母と離れていられる開放感がじわじわと身体中に染み渡り、知らず知らずに笑顔になる。
「…暁人の家はいいなあ…!煩いことを言うお母様がいなくて…!天国だ!」
暁人がつられるように隣に飛び込む。
二人は顔を見合わせて笑った。
「光小母様、そんなに煩いかな…。僕には優しいよ」
暁人は子どもながら気を遣えるのだ。
「お母様は暁人のことがお気に入りだからね。…僕はお母様から見たら、行儀は悪いわ言葉遣いは悪いわ反抗的だわ…可愛げのない最悪の子どもなのさ」
ふわふわの羽根枕を放り投げながら答える。
…美しい母…、賢くて強くて人気者で何でも出来て…。
そんな母から見たら自分なんかみそっかすなのだろう。
「…お母様には菫がいたらそれでいいのさ」
そう言ってしまうと、薫の胸の中をなんとも言えない寂しさが溢れてきた。

昨夜も菫が熱を出した途端、おろおろと心配し、付きっきりで看病をしだした。
「かわいそうに…菫、こんなに熱が高くて、大丈夫かしら…何か他の病気かしら…」
ただの夏風邪だと主治医に診断されても、光はナースの看病も断り、一晩中付き添った。

…お母様は菫が一番なんだろうな…。
おかあちゃま、おかあちゃまと光から離れない菫を光は眼の中に入れても痛くないほどに可愛がっている。
父は薫も菫も平等に可愛がってくれるが、光は違うと薫は思う。
明らかに自分より菫を愛しているはずだ。
…だって、あんなに蕩けるように優しい眼差しでなんかで自分を見てはくれない。

翌日の軽井沢行きもおじゃんになりそうで不貞腐れていた薫に助け船を出してくれたのは、たまたま屋敷を訪れた暁だ。
「…僕が薫を軽井沢に連れて行きますよ。義姉さんは菫の風邪が治ったら、いらしてください」
「でもそれでは暁さんにご迷惑だわ。…薫の世話なんて、本当に大変なんだから…」
薫はカチンときた。
「いいよ、僕は一人で軽井沢に行く。泉もいるし、ばあやもいるし、お母様なんていなくたって平気さ!お母様はずっと菫と一緒にこの屋敷にいたらいいんだ!」
光は美しい眉を逆立てた。
「まあ!なんてことを言うの⁉︎」
「義姉さん、薫は僕が預かります。どうぞご心配なさらないで下さい」
…そう暁が宥めてくれなかったら、どうなっていたか分からない。
/954ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ