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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

そして広くてふかふかな寝台の中で、薫は暁のことを考える。
…綺麗な叔父様…。
清潔で、上品で、物静かで…。
…でも…。
暁と月城の激しく淫らで生々しいキスを思い出す。
月城は暁をまるで喰い尽くすように唇を奪っていた。
暁もそれにしなやかに応え、甘い声を上げていた。
…あんなにいやらしいキスをするんだ…。
ぞくりと悪寒ではない甘い震えが薫の背中を走り抜ける。
…と、同時に…
その夜、庭園で泉と交わした小さなキスを思い出す。
…泉の煙草と柑橘系のトワレの薫り…。
泉は薫の唇をそっと押し包み一瞬ではあるが、唇を甘く啄むように咥えたのだった。
ずきりと胸の奥と下腹部が疼いた。
…あの夜は、結局寝られなかった…。
翌日も…
朝食室で泉の貌をまともには見られなかった。
泉は昨夜のことなどなかったかのように、爽やかな笑顔を見せていたけれど…。
…あれから泉の貌を見ると普通に接することが出来ない自分がいる。
それなのに泉はまるで、あのキスは単なる戯れか、ほんのちょっとしたレッスンだと言わんばかりに全く態度を変えない。
それがなんとも腹立たしい。
…僕は泉が気になって仕方ないのに、泉はなんとも思わないのだろうか…。
今回も軽井沢に着いて、早々に暁人の別荘に来てしまったので、泉とは貌をまだ合わせていない。
それがほっとするような寂しいような複雑な気持ちだ。
「…薫…唇、どうかしたの?」
ふと気づくと、薫は無意識に自分の唇を弄っていたようだ。
はっとする薫の目の前に、思わぬ近さで暁人が見つめていた。
「…怪我でもしたの…?」
おずおずと唇に手を伸ばす暁人の手を薫は反射的に払っていた。
「触るなよ!」
びくりと暁人が驚いたような傷ついた貌をした。
「…ご、ごめん…」
薫はばつが悪そうに目を逸らし、寝台から起き上がる。
「なんでもないよ。…それよりお腹がすいた。もう下に行こう!暁叔父様も待ってる」
元気に声をかけ、走り出す。
暁人が慌てて追いかける。
「待てよ、薫!」
「待たない」
振り返りにやりと笑う。
暁人が薫の笑顔を見て、ほっとしたように破顔する。
「なんだよ、薫!」
二人は歓声を上げながら、部屋を後にした。
…綺麗な叔父様…。
清潔で、上品で、物静かで…。
…でも…。
暁と月城の激しく淫らで生々しいキスを思い出す。
月城は暁をまるで喰い尽くすように唇を奪っていた。
暁もそれにしなやかに応え、甘い声を上げていた。
…あんなにいやらしいキスをするんだ…。
ぞくりと悪寒ではない甘い震えが薫の背中を走り抜ける。
…と、同時に…
その夜、庭園で泉と交わした小さなキスを思い出す。
…泉の煙草と柑橘系のトワレの薫り…。
泉は薫の唇をそっと押し包み一瞬ではあるが、唇を甘く啄むように咥えたのだった。
ずきりと胸の奥と下腹部が疼いた。
…あの夜は、結局寝られなかった…。
翌日も…
朝食室で泉の貌をまともには見られなかった。
泉は昨夜のことなどなかったかのように、爽やかな笑顔を見せていたけれど…。
…あれから泉の貌を見ると普通に接することが出来ない自分がいる。
それなのに泉はまるで、あのキスは単なる戯れか、ほんのちょっとしたレッスンだと言わんばかりに全く態度を変えない。
それがなんとも腹立たしい。
…僕は泉が気になって仕方ないのに、泉はなんとも思わないのだろうか…。
今回も軽井沢に着いて、早々に暁人の別荘に来てしまったので、泉とは貌をまだ合わせていない。
それがほっとするような寂しいような複雑な気持ちだ。
「…薫…唇、どうかしたの?」
ふと気づくと、薫は無意識に自分の唇を弄っていたようだ。
はっとする薫の目の前に、思わぬ近さで暁人が見つめていた。
「…怪我でもしたの…?」
おずおずと唇に手を伸ばす暁人の手を薫は反射的に払っていた。
「触るなよ!」
びくりと暁人が驚いたような傷ついた貌をした。
「…ご、ごめん…」
薫はばつが悪そうに目を逸らし、寝台から起き上がる。
「なんでもないよ。…それよりお腹がすいた。もう下に行こう!暁叔父様も待ってる」
元気に声をかけ、走り出す。
暁人が慌てて追いかける。
「待てよ、薫!」
「待たない」
振り返りにやりと笑う。
暁人が薫の笑顔を見て、ほっとしたように破顔する。
「なんだよ、薫!」
二人は歓声を上げながら、部屋を後にした。

