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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

暁は月城に腕枕をしてもらいながら、小舟に横たわる。
仰向けになると、墨を流したような夜空に夏の星座がきらきらと輝き、ミルクの帯の天の河まで透けて見えた。
「…わあ…!…綺麗…!」
暁は息を呑む。
瞬きもせずに、満天の星空をじっと見つめる暁を月城は優しい眼差しで見守る。
言葉の代わりに、その白く艶やかな頬にキスをする。
「…ありがとう、月城…。こんなに綺麗な星空を見せてくれて…」
暫くして暁が夜の湖よりも黒く艶やかな瞳で月城を見上げた。
いじらしい暁の言葉に胸が締め付けられる。
「…そんな…。私が貴方に差し上げられるものは、これくらいのものしかありませんから…」
思わず自嘲的な言葉が出てしまい、自分を情けなく思う。
意味がわからないと言った表情の暁の肩を抱き寄せ、その切ない異国の花めいた薫りがする髪にくちづける。
「…私は、貴族の紳士方のように貴方に高価なものを買って差し上げたり、別荘に招待して差し上げたり…そのようなことは出来ません…」
暁は眉を顰め、やや気色ばんで訴える。
「…怒るぞ。…本気でそんなことを思っているのか?…僕がそんなものを欲しがるとでも…?」
「…暁様…」
暁は表情を和らげ、愛しい男の胸元に抱きつく。
「僕は君がいてくれたら何もいらない。…お金も、贅沢品も、地位も名誉も…そんなものは少しも欲しくない。…君がいてくれたら、それだけで幸せなんだ」
月城の胸に熱いものが込み上げる。
…この方は…どこまで無垢で、汚れのないお心をお持ちなのか…!
「暁様…!貴方は…私をこれ以上、骨抜きにしてどうされるおつもりなのですか…!私はこれ以上貴方をどう愛したら良いか分からないほどに夢中だというのに…!」
眼鏡越しの美しい怜悧な瞳が情熱の色に染まる。
暁はそれをうっとりと見つめ、誘うように瞬きをする。
「…それは残念…。僕はもっと君に愛されたいのに…。…この心と身体の全てを使っても…」
無意識の艶かしい媚態に月城は眼を見開く。
月の光が、この世のものと思えないほどの美貌を湛えた麗人を照らしだす。
抗い難い情動と欲情が月城を襲い暁の顎を掴み、その花の唇を貪るように奪い尽くす。
「…そうだ…もっと…もっと僕を…愛してくれ…」
喘ぐように暁が呟く。
「…もっと…もっと…僕を壊して…森…!」
…恋人達を乗せた小舟は、ゆっくりと湖面を漂い始めるのだった。
仰向けになると、墨を流したような夜空に夏の星座がきらきらと輝き、ミルクの帯の天の河まで透けて見えた。
「…わあ…!…綺麗…!」
暁は息を呑む。
瞬きもせずに、満天の星空をじっと見つめる暁を月城は優しい眼差しで見守る。
言葉の代わりに、その白く艶やかな頬にキスをする。
「…ありがとう、月城…。こんなに綺麗な星空を見せてくれて…」
暫くして暁が夜の湖よりも黒く艶やかな瞳で月城を見上げた。
いじらしい暁の言葉に胸が締め付けられる。
「…そんな…。私が貴方に差し上げられるものは、これくらいのものしかありませんから…」
思わず自嘲的な言葉が出てしまい、自分を情けなく思う。
意味がわからないと言った表情の暁の肩を抱き寄せ、その切ない異国の花めいた薫りがする髪にくちづける。
「…私は、貴族の紳士方のように貴方に高価なものを買って差し上げたり、別荘に招待して差し上げたり…そのようなことは出来ません…」
暁は眉を顰め、やや気色ばんで訴える。
「…怒るぞ。…本気でそんなことを思っているのか?…僕がそんなものを欲しがるとでも…?」
「…暁様…」
暁は表情を和らげ、愛しい男の胸元に抱きつく。
「僕は君がいてくれたら何もいらない。…お金も、贅沢品も、地位も名誉も…そんなものは少しも欲しくない。…君がいてくれたら、それだけで幸せなんだ」
月城の胸に熱いものが込み上げる。
…この方は…どこまで無垢で、汚れのないお心をお持ちなのか…!
「暁様…!貴方は…私をこれ以上、骨抜きにしてどうされるおつもりなのですか…!私はこれ以上貴方をどう愛したら良いか分からないほどに夢中だというのに…!」
眼鏡越しの美しい怜悧な瞳が情熱の色に染まる。
暁はそれをうっとりと見つめ、誘うように瞬きをする。
「…それは残念…。僕はもっと君に愛されたいのに…。…この心と身体の全てを使っても…」
無意識の艶かしい媚態に月城は眼を見開く。
月の光が、この世のものと思えないほどの美貌を湛えた麗人を照らしだす。
抗い難い情動と欲情が月城を襲い暁の顎を掴み、その花の唇を貪るように奪い尽くす。
「…そうだ…もっと…もっと僕を…愛してくれ…」
喘ぐように暁が呟く。
「…もっと…もっと…僕を壊して…森…!」
…恋人達を乗せた小舟は、ゆっくりと湖面を漂い始めるのだった。

