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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
…小舟は嘘のように静かに湖面に浮かび、水面には小さな漣一つ立ってはいない…。

月城は生まれたままの姿の暁を優しく抱きしめ、その額に愛しげにキスを落とす。
暁は快楽の余韻に酔いしれ、綺麗な瞼を閉じてまだ静かに息を整えている。
暁の白く透き通るような身体の胸から下腹部にかけては、月城と暁の愛の蜜が白く撒き散らされ、滴り落ち…眩暈を起こしそうなほどに淫らな光景であった。
愛の営みの後始末をしようと、その身体に手を伸ばしたその時…月城の手が優しく握られる。
「…さっき…」
暁がそっと瞼を開く。
「…はい…」
「…死のうとしたの…?」
月城はじっと暁を見つめ、静かに答える。
「…貴方とこのまま共に死ねたら、どんなに幸せだろうかと考えておりました…」
「…そう…」
暁は手を伸ばし、月城の艶やかな髪を優しく撫でる。
「…僕は、君と死ぬのは構わない。…むしろ、一緒に死にたい…離れたくない…。
…だけれど…」
黒曜石より輝く美しい瞳がひたりと月城を見つめる。
「…君が死ぬのは嫌だ…君には生きていてほしい…」
「…暁様…」
月城の怜悧な澄んだ瞳が見開かれる。
「…だから…」
月城のひんやりした美しい手を愛しげに握りしめる。
「…一緒に生きていこう…苦しくても…辛くても…」
「暁様…!」
月城の氷の彫像のような美貌が僅かに歪む。
その美しい手に、暁はくちづける。
「…これから、色々なことが起こるかもしれない…。けれど、僕は月城に生きていてほしい。…僕の一番近くで生きていてほしい。…だから…」
…一緒に生きていこう…何があっても…
その言葉は、月城の熱いくちづけに飲み込まれた。
暁は月城の美しい瞳がこの湖の水面のように潤んでいることに気づく。
「…月城…」
…泣いているの…?
暁が尋ねる前に、月城が口を開く。
「…はい。貴方と生きてまいります。…私は暁様を離しません。…この命が尽きる瞬間まで…貴方を離さない…」
暁は目を細め、月城の頬に頬を擦り寄せる。
「…ずっと…一緒だ…死が二人を分かつまで…」
「…はい。…永遠に…」

月城は暁を抱き寄せ、満天の星を振り仰ぐ。
永遠の愛にも似た、美しい星が無数に煌めいている。
それを輝かせるのは青白い満月だ。

心の中で呟く。
…私達の最期に…暁の星と月さえあればいい…。
月城は愛おしい恋人を抱き寄せながら、そっと瞼を閉じたのだった。


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