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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「ああ!楽しかったなあ!」
薫は白い裾の長い寝巻きに着替えると、広いベッドに飛び込んだ。
そしてごろりと寝転ぶと、
「暁人の家はいいなあ。楽しいことばかりだ。ずっとここにいたい!」
うっとりと呟く。
隣に寝転んだ暁人は、その言葉に嬉しそうに目を輝かせる。
「本当に?…薫、うちの子になる?」
「なりたい!…お父様に会えないのは寂しいけど…カイザーも連れて来ていいなら、なりたい!」
ふわふわの羽根枕を高く放り投げる。
羽根枕はそのまま薫の顔に落ち、思わずくすくすと笑いだす。
暁人もつられて笑い出した。

…暁人の家の晩餐は、薫の好きなものばかりだった。
海老のコキールにハンブルグステーキ、フレンチフライ、チョコレートのアイスクリームにタルトタタンだ。
大嫌いな人参やトマトや鰊なんか出ないし、ナイフを使わずにフォークだけで食べても、美しい眉を逆立てて小言を言う母はいない。
絢子は何をしてもにこにこ微笑んでくれた。
ブロッコリーが苦手だと言うと、
「残して良いのよ。たまに遊びに来た時くらい、好きなものだけ食べるのもいいわよね」
と茶目っ気たっぷりに笑った。
絢子小母さまは本当に優しい…。
…お母様なら…
考えられないことだ。

「薫さんは本当に伸び伸びしていて気持ちが良いわ。暁人さんはちょっと大人びていて…なんだかもう子どもじゃないみたいで寂しいの」
暁人は口を尖らせる。
「ひどいな、お母様。僕だってまだ子どもですよ」
絢子は暁人の腕を撫でて謝る。
「ごめんなさいね。暁人さんが大人っぽいと言いたかったのよ」

…こんなこと、うちじゃあり得ない。
お母様は絶対に人には謝らない人だ。
なぜならお母様は完璧だからだ。
綺麗で賢くて強くて華やかで人気があって…バイオリンもプロ級だし、ダンスの名手でもある。
馬術はお父様と並ぶくらいの腕前だ。

…だから、出来ない人の気持ちが分からないのだ。
光のことを考えると、思わず顔が曇る。

そんな薫に暁人の父、大紋春馬はさりげなく声をかける。
「薫くん、デザートを食べたら遊戯室で遊ぼう。イギリスから取り寄せたボードゲームがあるよ。トランプはどうだい?」
薫の顔がぱっと輝いた。
「やりたい!両方したいです!」
…やっぱり暁人の家は天国だ。

そして大紋が薫の貌を見て、しみじみと呟いた。
「…君は本当に暁に似てきたね…」






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