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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「泉は…元気?別荘には暁叔父様がいらっしゃるだけでしょう?お父様が見えるのは来週だよね」
ぎこちなく尋ねる。
「はい。薫様がいらっしゃらないのでとても寂しいです」
「嘘だ。…僕がいなくたって…」
照れたような薫の言葉に被せるように
「寂しいです。…薫様がいらっしゃらないと」
穏やかだが真摯な眼差しで見つめられ、薫の心臓はどきりとした。
「…泉…」

その時、玄関の外で高らかに犬の鳴き声が聞こえた。
薫は目を見開いた。
「カイザー⁈」
泉は悪戯がばれた子どものような眼で笑った。
「カイザーも寂しがっていたので、連れてきました。一目でも薫様に会わせてあげようと思って…」

薫は玄関の扉に向かって走り出す。
扉を押し開けると、カイザーがこちらに向かいきちんとお座りをしていた。
「カイザー‼︎」
薫が駆け寄ると、カイザーは眼を輝かせながらそのまま飛びついて来た。
カイザーは大型のドイツシェパードだ。
華奢な薫はそのままひっくり返るが、カイザーはお構いなしに尻尾を千切れんばかりに振りながら、薫の顔中を舐め回す。
「あははは!…くすぐったいよ、カイザー!…わかったってば!落ち着いてよ」

ホールから暁人と大紋と絢子も現れ、その可愛らしい光景に思わず微笑む。
「まあ、可愛い!カイザーは本当に薫さんが好きなのね」
犬好きの暁人も一緒にカイザーを撫でる。
大紋はなごやかに泉に声をかける。
「泉、カイザーは置いてゆきなさい。折角、ご主人様に会えたのに引き離すのは忍びない」
「…しかし…」
戸惑う泉に
「大丈夫。光さんには私から上手く言っておくよ。…それに…明日は暁を家に招待してあるから、その時に連れ帰ってもいいし」
と、提案する。

薫の貌が輝く。
「本当に⁈春馬小父さま!」
「ああ。カイザー、良かったな。ご主人様と遊べるぞ?」
大紋はカイザーの頭を優しく撫でた。
カイザーは舌を出して嬉しそうに大紋を見上げていたが、やがてシェパードらしく威厳に満ちた様子で一声吠え、感謝の意を表した。
「…なんだよ、カイザー。…こういう時だけカッコつけるんだから…普段からきりっとしてくれよなあ…」
薫が苦笑しながらも可愛くて仕方がないように、カイザーに貌を擦り寄せる。
皆は思わず笑いを漏らした。
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