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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
カイザーを引き渡し、帰ろうとする泉に大紋が声をかける。
「お茶でも飲んで行きなさい。…家に暁だけならゆっくりしてゆけるだろう?」
泉はにこやかな笑みを浮かべつつ
「ありがとうございます。…暁様が午後からお出かけになるので、お召替えのお手伝いをいたします。お気持ちだけいただきます」
恭しく一礼をすると、薫の方を向き直り、
「来週には菫様も快復されてこちらにいらっしゃるでしょう。旦那様も九州からお帰りになられますので、皆様揃われます。
薫様、ぜひお帰りくださいね」
と語りかけた。
「…う…ん…」
…お父様には会いたいけれど、お母様には会いたくない…。菫はすぐにつきまとってきてうるさいしな…。
気が進まない生返事をしていると、大紋が薫の肩を抱いた。
「もうしばらく家にいてもいいだろう。…いっそ、縣家皆で泊まりに来て貰うのはどうだ?暁も呼んで…」
父の提案に、暁人が声を弾ませる。
「賑やかになるね!それなら薫も礼也小父様に会えるし、いいんじゃない?」
…お母様も暁人の家ではさすがに露骨に怒らないだろう。
薫は頷いた。
「光さんによろしくお伝えしてくれ。二家族が揃ってゆっくり出来るなんて稀だ。…子どもたちに楽しい思い出を作ってやりたいのだ」
大紋の言葉に泉は微笑んだ。
「かしこまりました。お伝えいたします」

…そして…
「…では薫様、ご機嫌良くお過ごしくださいませ」
泉は大きな手で薫の髪を優しく撫でた。
「…うん…あの…ありがとう…」
泉の手の温かさがくすぐったい。
…キスした時のあの夜が蘇る。
気恥ずかしくて貌を上げられない。
泉は静かに微笑むと、そのまま大紋家を辞した。
薫はその遠ざかる後ろ姿を、いつまでも見送り続けていた。


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