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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

昼食を済ますと、薫は渋々、バイオリンを取り出し弦の調律をする。
絢子が
「お昼が済んだら、二人ともピアノとバイオリンのお稽古をしましょう。そうしたらそのあとゆっくり遊べるわ」
と言い出したからだ。
恐らく絢子は、光に気を使ったのだろう。
控えめで優しい性格の絢子はいつも光に一目置いて、接している風だ。
…絢子小母様もお母様が怖いのかな…可哀想に…。
薫は1人、合点を生かせる。
皆に聴かれるのが嫌で、薫は部屋に篭ってバイオリンを嫌々構える。
…なんで軽井沢まで来て大ッ嫌いなバイオリンを弾かなきゃならないんだ!
薫は中っ腹になりながら、弾き始める。
…床に蹲っていたカイザーが、そっと部屋を出ていった。
「なんだよ!カイザー!そんなにヘタか⁉︎」
不貞腐れていると、階下のピアノ室からは暁人の流暢なピアノの音色が聴こえてきた。
「…上手いな…」
ショパンの英雄ポロネーズ…。12歳とは思えない腕前だ。
…暁人はなんでも出来る。秀才だし、スポーツも万能、馬術も得意だし、ピアノも上手い。
優しくて面倒見もいいから、皆に好かれている。
…僕と大違いだ。
薫はすっかりやる気を失い、バイオリンを放り出しソファにふんぞり返る。
軽いノックの音が聞こえ、絢子が顔を覗かす。
「…弾かないの?薫さん」
悪戯めいた微笑みを浮かべた絢子は、本当に可愛らしい。
小柄で色白の肌に綺麗なペパーミントグリーンのドレスが良く似合う。
いつもにこにこしていて不機嫌な顔や怒った顔など一切見せない。
…お母様と大違いだ。
「…バイオリン、大嫌いなんです…へたくそだから」
肩を竦め、素直に答えた。
絢子は優しく微笑みながら近づき、薫の隣に座った。
「下手ではないわ。以前、お聴きしたことがあるけれど、とても綺麗な良い音を出されていたわ」
絢子もバイオリンをやるのだ。
「でも…お母様は僕みたいにへたくそなバイオリンは聴いたことがない…て…」
…全く…なぜそう嫌々弾くの?貴方の強情な性格がそのまま音に表れているわ。こんなものは音楽ではありませんよ!
…薫はバイオリンを床に叩きつけて光に激怒され、その日は晩御飯抜きで部屋に閉じ込められた…。
…ちくしょう…!お母様なんか鰐に食われてしまえ!
薫は泉がこっそり差し入れてくれたサンドイッチを頬張りながら、母親に呪いをかけた。
…勿論、何の効果もなかったが…。
絢子が
「お昼が済んだら、二人ともピアノとバイオリンのお稽古をしましょう。そうしたらそのあとゆっくり遊べるわ」
と言い出したからだ。
恐らく絢子は、光に気を使ったのだろう。
控えめで優しい性格の絢子はいつも光に一目置いて、接している風だ。
…絢子小母様もお母様が怖いのかな…可哀想に…。
薫は1人、合点を生かせる。
皆に聴かれるのが嫌で、薫は部屋に篭ってバイオリンを嫌々構える。
…なんで軽井沢まで来て大ッ嫌いなバイオリンを弾かなきゃならないんだ!
薫は中っ腹になりながら、弾き始める。
…床に蹲っていたカイザーが、そっと部屋を出ていった。
「なんだよ!カイザー!そんなにヘタか⁉︎」
不貞腐れていると、階下のピアノ室からは暁人の流暢なピアノの音色が聴こえてきた。
「…上手いな…」
ショパンの英雄ポロネーズ…。12歳とは思えない腕前だ。
…暁人はなんでも出来る。秀才だし、スポーツも万能、馬術も得意だし、ピアノも上手い。
優しくて面倒見もいいから、皆に好かれている。
…僕と大違いだ。
薫はすっかりやる気を失い、バイオリンを放り出しソファにふんぞり返る。
軽いノックの音が聞こえ、絢子が顔を覗かす。
「…弾かないの?薫さん」
悪戯めいた微笑みを浮かべた絢子は、本当に可愛らしい。
小柄で色白の肌に綺麗なペパーミントグリーンのドレスが良く似合う。
いつもにこにこしていて不機嫌な顔や怒った顔など一切見せない。
…お母様と大違いだ。
「…バイオリン、大嫌いなんです…へたくそだから」
肩を竦め、素直に答えた。
絢子は優しく微笑みながら近づき、薫の隣に座った。
「下手ではないわ。以前、お聴きしたことがあるけれど、とても綺麗な良い音を出されていたわ」
絢子もバイオリンをやるのだ。
「でも…お母様は僕みたいにへたくそなバイオリンは聴いたことがない…て…」
…全く…なぜそう嫌々弾くの?貴方の強情な性格がそのまま音に表れているわ。こんなものは音楽ではありませんよ!
…薫はバイオリンを床に叩きつけて光に激怒され、その日は晩御飯抜きで部屋に閉じ込められた…。
…ちくしょう…!お母様なんか鰐に食われてしまえ!
薫は泉がこっそり差し入れてくれたサンドイッチを頬張りながら、母親に呪いをかけた。
…勿論、何の効果もなかったが…。

