この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…菫様はどう?お熱は下がられたかな?」
「うん。もう大丈夫だそうだよ。来週には、義姉さんと一緒に軽井沢に来られるって。兄さんも来週、こちらにいらっしゃるから賑やかになりそうだ」
他愛のない話をするのが楽しい。
蓄音機のレコードを替えに、藤木が静かに現れた。
ドイツ人の女性歌手の愛の歌…
…いつか夜の街角で会おう…
昔みたいに…

「薫様は?」
暁は苦笑を漏らす。
「…相変わらずだ。義姉さんに会いたくないって、春馬さんの別荘に行きっぱなしだよ」
月城も思わず笑う。
「…なかなか強情なお坊ちゃまだな。…光様に似たのかな…」
さらりと言いながら水割りを傾ける月城に、暁は綺麗な眉を上げ少し拗ねたような貌をする。
「…前から気になっていたんだけどさ…」
「うん?」
「…森、義姉さんと昔、何かあったよね?」
月城はふっと色めいた艶やかな眼差しを暁に向けた。
「…懐かしい想い出だ…」
暁はむっとした表情をする。
「…何があったの?」
「…昔の話だ…。軽井沢の草原で…美しき若き侯爵令嬢と、ほんの僅かなラブロマンス…。…貴方が気にするような話ではないよ」
余裕に満ちた月城に、何だか腹が立つ。
「…狡いな…。僕が知らない森は他にもたくさんあるんだろうな…。義姉さんだけじゃない。…狭霧さんや、他にもたくさんの美しい人とのロマンスが…」
月城はそのひやりとした月の光のような冴え冴えとした美貌を暁に向け、微笑みながら手を握りしめる。
「…やきもちを焼く暁は可愛い…」
「もう!…相変わらず子ども扱い!」
「嬉しいんだ。貴方にやきもちを焼かれることが。…愛されていると実感できる」
「…森…」
月城の美しい手が暁の白い指に絡む。
「…どんな美しい想い出より、暁がいい…。貴方がいてくれたらそれでいい…」
暁の白い頬がうっすらと薔薇色に染まる。
「…やっぱり君は狡い。僕は君が好きすぎるから、結局怒る気を失くすんだ…」
月城は愛しげに暁の艶やかな髪にそっとくちづける。
/954ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ