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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
暁人とのテニスの試合は散々だった。
…やっぱり体格差があるやつとテニスなんてするもんじゃないな…。それに暁人はこないだの学年大会で優勝したんだっけ…。

薫はラケットを放り出すと、麻のパラソルの下の長椅子に寝そべる。
カイザーが嬉しげに近づいてきて、薫の傍に座る。

「二人ともお疲れ様。さあ、レモネードとスコーンを召し上がれ」
薄い水色のアフタヌーンドレスを着た絢子がメイドと共ににこやかに現れ、薫に冷えたレモネードを手渡す。
「ありがとうございます」
暁人も走り寄り、薫の隣りに座る。
「薫、上手くなったじゃないか」
優しい暁人は必ず薫を褒めてくれる。
へそ曲りの薫は口を尖らせ
「全然だよ。僕はやっぱりスポーツもへたくそだ」
「そんなことないよ。…薫は馬術も上手いじゃないか。」
「…馬だってお前の方が上手いだろ。同情はいらない」
「そ、そんなこと…ないよ…」
じろりと暁人を睨む。

賑やかな二人をよそに、絢子は白いつばの広い帽子の下からテニスコートをじっと見つめていた。

気持ちの良いボールの音が続く。
…緑に囲まれたテニスコートには大紋と暁が試合をしていた。

暁は白いシャツにテニス用のアイボリーのサマーセーター、白いテニス用のパンツという出で立ちがまるでオックスフォードの学生のように優雅で、その美貌は目を奪われずにはいられないほど輝いていた。

大紋はテニスも名手だ。
逞しい腕から繰り出されるスマッシュに暁は真剣な表情で食らいついてゆく。
暁は確かテニスは高等部から始めたと言っていたから、それにしてはなかなかの腕だ。
華奢な身体だが、大紋相手に一歩も譲らずにボールを返す。
…暁がやると、優雅な英国の貴族の青年のスポーツといった風で、薫も思わず見惚れる。

「…暁様は、本当にお美しいわね…」
絢子がぽつりと呟いた。
「…叔父様は意外にスポーツが得意なんです。スキーもお上手だし…。テニスもよく教えて下さいます」
冷えたレモネードを飲みながらのんびり答える。
絢子は聞いてか知らずぼんやりした口調で続けた。
「…お二人は本当に良くお似合いだわ…」

意外な言葉に薫は思わず絢子の貌を見た。
…白いチュールを優美に結んだ絢子の可愛らしい横顔は、はっとするほど孤独感に満ちていた。

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