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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
昼食後は皆で別荘近くの林にカイザーを連れて散歩に出る。
絢子は近くの別荘に滞在している姉が訪ねて来るというので家に残った。

薫と暁人はカイザーとともに林の道を駆けて行く。
薫はさっきまでの不機嫌が嘘のように笑っている。
暁は苦笑した。
「…全く…けろっとしちゃって…」
大紋は可笑しそうに笑う。
「可愛いもんじゃないか。…薫くんは子どもらしくて実にいい。…光さんはどうしてそんなに厳しくするのかな…」
「…義姉さんは、薫には兄さんみたいになって欲しいのだと思います」

…礼也さんみたいに気高く、美しく、理知的で、優雅で…一分の隙もないような紳士になって欲しいのよ、薫には…。
…なのに薫ときたら…。
光はため息を吐いた。

「…義姉さんは、兄さんを本当に愛していて兄さんに心酔していらっしゃるから、薫にもそうなって欲しいのでしょう…」
「確かに礼也は完璧な紳士だ。…けれど父親がそうだからと言って息子も同じように育つとは限らないだろう。…どちらかと言うと、薫くんの性格は光さん似だと思うがね。…貌立ちは君に生き写しだが…」
脚を止め、暁を見つめる。
その瞳には体温より高い熱があった。

…薫と暁人、そしてカイザーはもう遠くまで行ってしまったようだ。
静かな林の木立ちの中、二人きり…。
暁は少し動揺して俯く。

「…そんなに似ていますか…」
大紋の眼は見ずに答える。
「生き写しだ。…まるで君と光さんが間違いを犯して出来たような子どもだ…」
品のない例えに暁はむっとして大紋を睨み付ける。
「下品な例えをしないでください!…何で僕と義姉さんが…。兄さんに聞かれたら殺されますよ」
腹立たしげに早足で歩き出した暁の背後から、愉快そうな笑い声が聞こえた。
振り返ると大紋が可笑しそうに笑い続けている。
「な、何が可笑しいんですか⁈」
「…ごめん…。君の怒った貌を久しぶりに見たな…て思ってね。…君は怒るとすごく可愛くて…相変わらずだな…て、嬉しくなっちゃって…」
「…何を言って…」
どぎまぎする暁に、大紋が近づく。
真正面に立ち、暁をしみじみと見つめる。
「…変わらないな…君は…。相変わらず綺麗で…そして可愛い…」
暁は一瞬、大紋に見惚れ…しかしそんな自分を戒めるように貌を背ける。
「やめてください。…僕をいくつだと思っているんですか…?」
…腹立たしげに呟いた暁の顎が引き寄せられる。

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