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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
熱い飛沫が喉奥に叩きつけられ、暁は瞼を閉じて男の精を味わう。
月城は最後の一滴まで己れの精を暁の口内に沁み渡らせるかのように緩く腰を遣い続けた。
月城のものなら、苦味のある樹液も喉が震えるほどの快楽を誘うものに他ならない。
男の牡が離れてゆく瞬間まで、健気に舌を遣い雄蕊を清め続けた。
「…ん…っ…おいし…い…」
うっとりと吐息を漏らしながら月城を見上げる。
暁の濡れた桜色の唇を親指で優しく拭う。
桜貝のように透き通る美しい耳朶にキスを落とす。
「…本当に、素直で可愛い方だ。…良い子にできたご褒美を差し上げなくては…」
そのままゆっくりと暁を寝台に押し倒す。

月城の端整な貌が真近に迫り、暁はときめきながら抱きつく。
こんなにも美しい男に愛されていることが奇跡のような気がするからだ。
…失いたくない…掛け替えのないひと…。
暁の夜の帳よりも深く濃い瞳から透明の涙が溢れ落ちる。
「…お泣きにならないでください…暁様…貴方の涙は今でも一番苦手なのです…」
…少し虐めすぎましたか…?…と尋ねる月城の手を握りしめ、首を振る。
「…違うんだ…。君に愛されて…幸せすぎて…涙が出てくるんだ…」
「…暁様…!」
…この方は…どこまで無垢なのだろうか…。
男に対してまるで娼婦のように淫らな口淫を施しても尚、暁は穢れることなく透明な美しさと麗しさを保っている。
男を一途に愛し続ける。
自分の持つものすべてを男に与え、愛し尽くそうとする。
こんなにも美しく気高くきらきらと輝くようなひとなのに、自分の尊さに気付いていない。
そのいたいけなあどけなさに月城の内なる湿った加虐性は刺激されてしまうのだ。

月城は狂おしく暁の唇を奪いながら囁く。
「…壊れるほど、愛して差し上げますよ…暁様…」
暁の涙に濡れた瞳が嬉しげに細められ、ほっそりとした美しい白い腕が月城を抱く。
震える声が耳元で囁く。
「…壊して…お願い…僕を壊して…僕は君のものだから…この身体と心のすべてを君が奪って…壊して…」
「…暁…!」
月城はか細い腰を抱えあげ、まだ少しも張りを失ってはいない熱く昂っている牡をその柔らかく熟れた花環に一気に突き入れた。
「…んんっ…!…あ…ああ…」
暁のしなやかな身体が仰け反る。

月城は我を忘れてその稀有で淫らな愛おしい身体を求め、貪り、共に甘美な快楽の底なし沼へと落ち入っていくのだった…。


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