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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…本当に…僕をもう愛していない…?」
低い声で大紋が尋ねる。
暁は池に目を転じたまま、感情を込めずに口を開く。
「愛していません。当たり前のことを何度も聞かないでください。…貴方のことなんか愛していない。迷惑なんです。いつまでも…」


しばらく二人の間を沈黙が支配する。
先に口を開いたのは大紋であった。
「…じゃあ、僕の目を見て言って」
「……」
「僕の目を見て、暁…」
暁は大紋に背中を向ける。
腕が捕まれ、気がつくと男の貌が目前に迫る。
「離して…」
「目を見てはっきり言ってくれ。僕をもう愛していないと。嫌いだと。…そうしたら諦められる」
暁が大紋の腕の中でもがく。
「離してください…!」
「なぜ言えない⁉︎簡単なことじゃないか。僕の貌を見て、こっちを見て、暁…!」

暁は渾身の力を振り絞って、男を突き放す。
全ての想いが決壊したかのように、叫ぶ。
「やめてください!…貴方の目を見てなんて、そんなこと、できるわけがない!だって…貴方は僕の初めて愛した特別な人です!貴方をもう愛してはいないけれど、だからと言って嫌いになったわけじゃない。貴方への消せない想いはあります!月城を愛していても!貴方への想いは心のどこかに残っている。だって…仕方ないでしょう?貴方を愛していたけれど、別れなくてはならなかったのだから。…それしか選択肢がなかった。本当は別れたくなかった。貴方を愛していたから…!
…だけどそれをどうして今更あからさまにしなくてはならないのですか⁉︎そんなことをして何になるのですか⁉︎誰が幸せになるのですか⁉︎」
「…暁、僕を愛している…?」
大紋は瞬きもせずに暁を凝視する。

哀しげな…諦め果てたような仄かな微笑みが暁の貌に浮かぶ。
「…愛していません。…けれど貴方を他の人と同じには見られない。貴方のことはいつも心のどこかに引っかかっている。…それが愛だというのなら…僕は貴方をまだ愛しているのでしょう…」
暁の白い頬に涙が流れ落ちる。
男が逞しい腕で暁を引き寄せ、抱きすくめる。
暁はもう抗わなかった。人形のように抱きしめられたまま、囁く。
「…満足ですか…?僕の心の奥底を暴いて…さらけ出して…こんな…誰よりも愛する月城を裏切るようなことを言わせて…」
黒曜石のような黒い瞳からはとめどなく涙が流れる。
大紋はその華奢な身体を砕かんばかりに抱きしめる。




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