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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

「…月城…」
暁は目を見開き、咄嗟に何か言わなくては…と唇を開いたが、それは声にはならなかった。
月城は眉ひとつ動かさず…しかし周りに目には見えない青い炎のようなものをその美貌に漂わせながら、二人の方に近づいた。
暁の前に立つとその腕を有無を言わさずに掴み、そのまま力任せに引き寄せると、容赦なく引き摺るように歩き出した。
「月城…!」
慌てて大紋が後を追い
「月城、誤解だ。聞いてくれ…」
と、声をかけたが彼はそれに対して何も答えずに、歩き続ける。
「…月城…!聞いて…」
暁の声も無視し、足早に歩く。
取り付く島がないとは正にこのことだ。
氷のような美貌は恐ろしいほどに冴え冴えとしている。
「…月城…痛い…」
掴まれた手の余りの強さに、声を上げた時だけ一瞬立ち止まり暁を振り返ったが、その怜悧な双眸で冷ややかに見つめただけで、力を緩めず…寧ろ更に力を込めると再び歩き出した。
暁は必死で声をかける。
「待って!アレイオンを置いて来てしまったから…」
「…ご親切な大紋様が厩舎でお連れくださいますよ。あの方は貴方の為ならなんでもなさるはずだ」
感情が全く籠らない声で告げる。
林道の傍に北白川伯爵家の軽井沢での車、フォードが停まっていた。
月城は助手席のドアを開けると、暁を手荒く押し込めた。
「待って、どこに行くの?」
運転席に座り、エンジンを掛ける男に尋ねる。
「…黙って乗っていらしてください。…私は今、尋常ではないほどに憤りを感じております。…何をするかわかりませんよ」
暁の貌も見ず、低い声で告げた男に暁はもう何も話しかけることは出来ずに、口を噤んだのだった。
暁は目を見開き、咄嗟に何か言わなくては…と唇を開いたが、それは声にはならなかった。
月城は眉ひとつ動かさず…しかし周りに目には見えない青い炎のようなものをその美貌に漂わせながら、二人の方に近づいた。
暁の前に立つとその腕を有無を言わさずに掴み、そのまま力任せに引き寄せると、容赦なく引き摺るように歩き出した。
「月城…!」
慌てて大紋が後を追い
「月城、誤解だ。聞いてくれ…」
と、声をかけたが彼はそれに対して何も答えずに、歩き続ける。
「…月城…!聞いて…」
暁の声も無視し、足早に歩く。
取り付く島がないとは正にこのことだ。
氷のような美貌は恐ろしいほどに冴え冴えとしている。
「…月城…痛い…」
掴まれた手の余りの強さに、声を上げた時だけ一瞬立ち止まり暁を振り返ったが、その怜悧な双眸で冷ややかに見つめただけで、力を緩めず…寧ろ更に力を込めると再び歩き出した。
暁は必死で声をかける。
「待って!アレイオンを置いて来てしまったから…」
「…ご親切な大紋様が厩舎でお連れくださいますよ。あの方は貴方の為ならなんでもなさるはずだ」
感情が全く籠らない声で告げる。
林道の傍に北白川伯爵家の軽井沢での車、フォードが停まっていた。
月城は助手席のドアを開けると、暁を手荒く押し込めた。
「待って、どこに行くの?」
運転席に座り、エンジンを掛ける男に尋ねる。
「…黙って乗っていらしてください。…私は今、尋常ではないほどに憤りを感じております。…何をするかわかりませんよ」
暁の貌も見ず、低い声で告げた男に暁はもう何も話しかけることは出来ずに、口を噤んだのだった。

