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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…いや…あ…んんっ…は…ああ…」
月城の律動の度に暁は弱々しく喘ぐ。
少しも快楽を感じていない苦しげな喘ぎ声だ。
「…なぜ感じて下さらないのですか…暁様…!」
月城は美しい眉根を顰め、暁の腰に己れの腰を打ち付けながら悲痛な声を漏らす。
がくがくと揺さぶられ暁は涙を零しながら、目を閉じる。

…感じない…。なぜなら、月城の愛が全く感じられない行為だからだ。
こんなにも辛く苦しい性交は初めてだった。
身体の痛みより、心が痛かった。
月城に口を塞がれ、喘ぎ過ぎて過呼吸気味になり、暁の頭の中は靄がかかったように白くなってゆく。

…このまま、死んでしまいたい…。
自分は、月城にこんな酷いことをさせてしまうほどに彼を傷つけてしまったのだ。
月城に赦して貰いたい。
…けれど、どんなに詫びても彼は暁の言葉など聞いてはくれないだろう。
自分に出来ることは、この辛い仕打ちを我慢することだけだ。
暁は自分に言い聞かせ、唇を噛みしめる。

男の抽送が野蛮なまでに速く強くなり、やがて彼は低く呻くと、暁の最奥に熱い精を放った。
その熱い飛沫を受け、暁は白い背中を仰け反らせ、身体を震わせると、そのまま意識を手放した。

…暁はとうとう一度も快楽を得ることなく、ただ嵐のような月城の蛮行に精も根も尽き果てて、意識を失ったのだった。

美しい人形のように暁は、くたりと力なくベッドに崩れ落ちる。
月城はゆっくりと暁の後孔から牡を抜く。
散々に狼藉を働かれた花環は痛々しいまでに腫れ上がり、僅かに開いた孔からは放たれたばかりの精が涙の如く滴り落ちていた。
その玻璃のように繊細で美しい貌は涙で濡れ、痛みと苦しみに耐える為に噛み締められた口唇の端が切れ、血が滲んでいた。

…月城は、漸く我に帰った。
頭の中がしんと静まり返り、血の気が引くほどの衝撃が彼を襲う。

…私は…なんてことをしてしまったのだ!
嫌がる暁様を無理やり…これでは強姦だ…!
…言い掛かりのような言葉で責め立て、華奢な身体をも痛めつけてしまった。

…本当は途中から気づいていたのだ。
暁様が大紋様と通じてはいないことを…。
だが、自分は許すことができなかった。
自分を裏切った暁様を…。
…いや、裏切ったと思い込んだのだ。
暁様と大紋様の過去を嫉妬する余りに…
ただ自分のエゴの為に…暁様に妄執する余り、暁様を蹂躙してしまったのだ…!



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