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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
月城は震える手で暁を抱き上げる。
ぐったりとした暁の貌は青白く、生気すらなかった。
「…暁様…!」
月城は意識のない暁を強く抱きしめる。
涙に濡れた滑らかな頬が冷たく、月城の胸は激しく痛んだ。
そして唇を重ねようとして…はっとする。
…私に暁様に口付けをする資格などあるのだろうか…と。
自分の命より大切な愛おしい人を…邪悪な嫉妬という悪の感情に支配され、狼藉を働いてしまったのだ。
…あんなにも嫌がられていたのに、無理やり力でねじ伏せてしまったのだ…。
…なんて卑怯な…なんて最低な人間なのだろうか…。
そして、ひとつの結論に辿り着く。

私は…暁様に相応しい人間ではない。

月城は暗く冷えゆく心の中で、自分に語りかける。
…暁様は、もう私を許しては下さらないだろう…。
いや、仮に暁様が許して下さっても、自分が自分を許せない。

月城は暁を大切にベッドに横たえさせると、ブランケットを掛ける。
白く冷たい華奢な手を握りしめ、頬に押し当てる。
暁の手に透明な雫が滴り落ちる。

…暁様…!誰よりも…誰よりも愛おしい人…。
貴方を愛している…誰よりも…この命よりも…。

月城はもはや口には出せない愛の言葉を、いつまでも暁に語り続けるのであった…。

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