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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

泉は朝靄の中、別荘の裏口に佇む兄、月城森を見て息を飲んだ。
一分の隙もなく完璧に黒い執事の制服を着こなした兄…。
すらりとした美しいスタイルと美貌はまるで彫像のようだ。
だがその貌は驚くほどに青白く憔悴しきり、生気の欠片もない。
こんな兄を初めて見た。
「…あんた、どうしたんだよ?」
月城は硬い表情のまま、低い声で口を開いた。
「…暁様が離山の別荘におられる。…ご体調を崩されているかも知れない。…お前、この後にご様子を見に行ってくれ…」
泉は眉を顰めた。
「…どういうことだよ…。何であんたが行かないんだよ」
「…私は行けない。…いや、もう暁様にはお会い出来ない…二度と…」
西洋人形のように端麗に整った美貌が苦しげに歪む。
「…どういう意味だよ。…あんた!暁様に何をしたんだよ‼︎」
激昂した泉に胸倉を掴まれても、月城は瞬きもせずに泉を力なく見つめ、呟いた。
「…私は…最低だ」
「何をしたんだよ!兄貴‼︎」
苛立ったように月城を揺さぶる泉にされるままになりながら、悲痛な声色で懇願した。
「…暁様を頼む。泉、お前にしか頼めないのだ。
…私の一生のお願いだ」
一分の隙もなく完璧に黒い執事の制服を着こなした兄…。
すらりとした美しいスタイルと美貌はまるで彫像のようだ。
だがその貌は驚くほどに青白く憔悴しきり、生気の欠片もない。
こんな兄を初めて見た。
「…あんた、どうしたんだよ?」
月城は硬い表情のまま、低い声で口を開いた。
「…暁様が離山の別荘におられる。…ご体調を崩されているかも知れない。…お前、この後にご様子を見に行ってくれ…」
泉は眉を顰めた。
「…どういうことだよ…。何であんたが行かないんだよ」
「…私は行けない。…いや、もう暁様にはお会い出来ない…二度と…」
西洋人形のように端麗に整った美貌が苦しげに歪む。
「…どういう意味だよ。…あんた!暁様に何をしたんだよ‼︎」
激昂した泉に胸倉を掴まれても、月城は瞬きもせずに泉を力なく見つめ、呟いた。
「…私は…最低だ」
「何をしたんだよ!兄貴‼︎」
苛立ったように月城を揺さぶる泉にされるままになりながら、悲痛な声色で懇願した。
「…暁様を頼む。泉、お前にしか頼めないのだ。
…私の一生のお願いだ」

