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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
扉をノックしながら入って来た男の貌を見て、暁は思わず叫んだ。
「月城…⁈」
…いや、よく見ると違う。
眼鏡をかけていないし、整った目鼻立ちは同じだが、纏う雰囲気や、まだ甘さが残るような若々しい顔立ちは月城のそれではなかった。

「…泉…きみ…なぜ…」
泉は、ベッドヘッドに背中を持たせかけている暁を気遣わしげに見て近づく。
「暁様、大丈夫ですか?…何があった…」
…暁の薄紅色の唇の端が切れて、血が僅かに滲んでいる。
白い寝間着の首筋は赤く鬱血していた。
…まるで誰かの手により首を絞められたような…。
華奢な白い手首にも強く握りしめられた跡のようなものが付いていた。

…聞かなくても分かる。
今朝の尋常ではない兄の様子…。暁の痛々しい肉体の様子…。
「…兄貴がやったんですね⁈兄貴が暁様に乱暴を…!」
暁は必死で首を振る。
「違う!月城は乱暴なんてしていない!暴力を振るわれたわけじゃない!月城は悪くない!」
泉は暁の傍に駆け寄る。
ベッドに跪き、暁の手を取る。
「…この跡は何ですか?…兄貴がやったんでしょう⁈…きっとその寝間着の下も…兄貴が貴方を無理やり…!」
暁は慌てて寝間着の前を白く細い指先で掻き合わせる。
「違う!…月城は悪くない!…僕が彼の心を傷つけたから…だから…」
泉の貌を見て堪えていた涙が一気に溢れ出す。
両手で貌を覆い泣き出した暁をたまらずに泉は抱きしめる。
「泣かないでください…!暁様…!」
泉の逞しい胸の中で、嗚咽を漏らす。
「…月城は悪くない…僕が…僕が月城を誤解させてしまったから…僕が悪いんだ…」

…痛々しい華奢な身体…。
この身体を痛ましい跡が付くまで蹂躙した兄に、はらわたが煮えくり返るような憤りを感じる。
あくまで兄を庇う暁がいじらしく、胸が痛む。
泉は暁の震える背中を抱きしめる。
「…昨日、大紋様がアレイオンを届けにいらっしゃいました…」
暁の肩が震える。
「暁様がまだお帰りでないとお伝えするととてもご心配されていました…。大紋様と暁様の仲を、兄は疑って…貴方を傷つけられたのですね?」
暁は泣きながら首を振る。
「…月城は悪くない…僕が悪い…!もっと早くに春馬さんに対してはっきりした態度を取っておけば良かったんだ…。…僕は…春馬さんを振り切れなくて…春馬さんのことを心の片隅に置いていたから…だから月城を傷つけることになってしまった…」
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