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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

泉は腕の中の暁を、強く強く抱きしめる。
兄への怒りが爆発し、叫ぶ。
「なに言ってんだよ!あんたが一番傷ついているだろ⁈恋人に酷い目に合わされてさ!
あんたは全然悪くない!大紋様があんたを忘れられなくて思い続けているのは、あんたのせいじゃない!…あんたを信じてあげなくて、異常な執着を示す兄貴が悪い!あいつは自分で言う通り、最低だ!」
暁が泉の腕の中から貌を上げる。
「…月城に会ったの?」
「ああ。…今朝、うちに来た。…あんたが体調崩しているかも知れないから、様子を見に行ってくれって。俺にしか頼めないからって。一生のお願いだ…て」
「…そう…」
暁の美しい黒い瞳に新たな涙が浮かぶ。
…そんなにあいつが好きなのかよ…。
不意に兄への嫉妬心が溢れ出す。
「…兄貴は、もう二度とあんたに会えない…て」
暁は目を見張り、悲しげに瞬きをした。
「…そう…」
俯いてまた、肩を震わせながら声を押し殺して涙を流す。
「泣くなよ。泣かないでくれよ。…俺…あんたが泣くのを見たくない!あんたを泣かせる兄貴が許せない!」
泉は再び暁を強く抱きしめる。
異国の花のような切ない薫り…。
泉の心は甘く痛みを持って疼く。
「…泉…」
子どものように泉の胸で啜り泣く暁の貌を持ち上げる。
暁の黒く濡れた眼差しを見つめ、真剣に告げる。
「…暁様…。俺はあんたが好きだ。今も大好きだ!」
「泉…?」
「俺ならあんたをこんな風に泣かしたりしない!絶対にしない!大切にする!…だから…俺を…」
暁は首を振りながら、泉を突き放す。
「…だめだよ。泉…」
「暁様…!」
泣いてはいるが毅然とした美しい瞳が泉の眼を射る。
「…愛しているんだ…月城を…。他の人ではだめなんだ。…彼でないと…彼でないと、僕はだめなんだ…」
…ごめんね…と俯いて、静かに涙を流す暁を暫く見つめていたが、泉はやがて
「…なんだよ、兄貴の馬鹿やろう!…こんなに暁様に愛されているのに!…しっかりしてくれよ、全く!」
そう憤慨したように言いながら、暁をまるで肉親が慰めるように優しく抱きしめた。
「…ありがとう…泉…」
暁はそれを言うのが精一杯で、あとは泉の温かく逞しい胸でひたすら泣き崩れたのであった。
兄への怒りが爆発し、叫ぶ。
「なに言ってんだよ!あんたが一番傷ついているだろ⁈恋人に酷い目に合わされてさ!
あんたは全然悪くない!大紋様があんたを忘れられなくて思い続けているのは、あんたのせいじゃない!…あんたを信じてあげなくて、異常な執着を示す兄貴が悪い!あいつは自分で言う通り、最低だ!」
暁が泉の腕の中から貌を上げる。
「…月城に会ったの?」
「ああ。…今朝、うちに来た。…あんたが体調崩しているかも知れないから、様子を見に行ってくれって。俺にしか頼めないからって。一生のお願いだ…て」
「…そう…」
暁の美しい黒い瞳に新たな涙が浮かぶ。
…そんなにあいつが好きなのかよ…。
不意に兄への嫉妬心が溢れ出す。
「…兄貴は、もう二度とあんたに会えない…て」
暁は目を見張り、悲しげに瞬きをした。
「…そう…」
俯いてまた、肩を震わせながら声を押し殺して涙を流す。
「泣くなよ。泣かないでくれよ。…俺…あんたが泣くのを見たくない!あんたを泣かせる兄貴が許せない!」
泉は再び暁を強く抱きしめる。
異国の花のような切ない薫り…。
泉の心は甘く痛みを持って疼く。
「…泉…」
子どものように泉の胸で啜り泣く暁の貌を持ち上げる。
暁の黒く濡れた眼差しを見つめ、真剣に告げる。
「…暁様…。俺はあんたが好きだ。今も大好きだ!」
「泉…?」
「俺ならあんたをこんな風に泣かしたりしない!絶対にしない!大切にする!…だから…俺を…」
暁は首を振りながら、泉を突き放す。
「…だめだよ。泉…」
「暁様…!」
泣いてはいるが毅然とした美しい瞳が泉の眼を射る。
「…愛しているんだ…月城を…。他の人ではだめなんだ。…彼でないと…彼でないと、僕はだめなんだ…」
…ごめんね…と俯いて、静かに涙を流す暁を暫く見つめていたが、泉はやがて
「…なんだよ、兄貴の馬鹿やろう!…こんなに暁様に愛されているのに!…しっかりしてくれよ、全く!」
そう憤慨したように言いながら、暁をまるで肉親が慰めるように優しく抱きしめた。
「…ありがとう…泉…」
暁はそれを言うのが精一杯で、あとは泉の温かく逞しい胸でひたすら泣き崩れたのであった。

