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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

象牙色のアフタヌーンドレスを身に纏った光が軽やかな足取りで、梨央と綾香の元に歩み寄る。
「光お姉様、ようこそ!あら?薫さんと暁さんは?」
梨央が背後を伺う。
光は肩を竦める。
「薫はまだ大紋さんのお宅にお邪魔しっぱなし。
あちらの車で後ほど来るそうよ。私の貌もろくに見やしないの。本当に意地っ張りでいやになってしまうわ。
…暁さんは、ご体調を崩されて離山の別荘にいらっしゃるわ」
「あら、残念!暁さんのお美しいお貌を拝見したかったのに」
綾香ががっかりしたような声を上げる。
月城は思わず、光に尋ねた。
「光様、暁様のご体調は大層お悪いのでしょうか?」
光が意外そうな貌をして月城を見上げる。
そしてやや声を潜めて答える。
「…ただの夏風邪らしいのだけれど…。
…月城、貴方、知らなかったの?」
「…はい…」
光が口を開こうとした時、背後から礼也が近づき
「光さん、君は先に梨央さん達と中に入っていてくれ。
…私は月城と少し話がある」
穏やかだが、強い意志を感じさせる声で妻に告げた。
光は何かを察知したかのように、
「…分かったわ。…さあ、菫、お母様とまいりましょう」
と、菫の手を繋ぎながら、梨央や綾香と共に玄関の中へと入って行った。
…大紋一家の車が到着するまでにはまだ少し時間があった。
礼也は月城の方を向き直る。
その表情はやや硬く、いつもの人好きするような明るさや闊達さは微塵もなかった。
「…二人きりで話せる場所はあるか?」
月城は恭しく目礼すると、美しい所作で彼を庭園へといざなった。
「縣様、どうぞこちらへ…」
礼也は頷くと、月城の後をゆっくりと従い庭園へと続く石畳を歩き始めた。
「光お姉様、ようこそ!あら?薫さんと暁さんは?」
梨央が背後を伺う。
光は肩を竦める。
「薫はまだ大紋さんのお宅にお邪魔しっぱなし。
あちらの車で後ほど来るそうよ。私の貌もろくに見やしないの。本当に意地っ張りでいやになってしまうわ。
…暁さんは、ご体調を崩されて離山の別荘にいらっしゃるわ」
「あら、残念!暁さんのお美しいお貌を拝見したかったのに」
綾香ががっかりしたような声を上げる。
月城は思わず、光に尋ねた。
「光様、暁様のご体調は大層お悪いのでしょうか?」
光が意外そうな貌をして月城を見上げる。
そしてやや声を潜めて答える。
「…ただの夏風邪らしいのだけれど…。
…月城、貴方、知らなかったの?」
「…はい…」
光が口を開こうとした時、背後から礼也が近づき
「光さん、君は先に梨央さん達と中に入っていてくれ。
…私は月城と少し話がある」
穏やかだが、強い意志を感じさせる声で妻に告げた。
光は何かを察知したかのように、
「…分かったわ。…さあ、菫、お母様とまいりましょう」
と、菫の手を繋ぎながら、梨央や綾香と共に玄関の中へと入って行った。
…大紋一家の車が到着するまでにはまだ少し時間があった。
礼也は月城の方を向き直る。
その表情はやや硬く、いつもの人好きするような明るさや闊達さは微塵もなかった。
「…二人きりで話せる場所はあるか?」
月城は恭しく目礼すると、美しい所作で彼を庭園へといざなった。
「縣様、どうぞこちらへ…」
礼也は頷くと、月城の後をゆっくりと従い庭園へと続く石畳を歩き始めた。

