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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
車寄せがまた賑やかになった。
大紋家のフォードが到着したのだ。
月城は再び迎えに出た女主人達の後ろに立つ。

下僕がドアを開ける。
…夏服の正装を身につけた大紋が降り立つ。
四十代半ばとは思えぬ若々しさと同時に辺りを払うような成熟した大人の威厳を漂わせた美しい姿だ。
彼を見る度に、月城はいつもどこか卑屈になるような自分を感じていたのだ。
…爵位はないが資産家で大人数の弁護士を束ねる法律事務所を全国にいくつも展開している。
整った容姿、知性、教養、趣味、人柄…どれも一級品だ。
…いや、何より月城をいつも悩ませていたのは、大紋が暁の最初の男ということだ。
あの稀有に美しく夜に咲く妖しい花のような淫靡な色香を開発したのが、あの男だということが常に頭から離れなかったのだ。
それくらい、月城は暁を愛しすぎていたのだ。
…愛すれば愛するほどに狭く卑しくなる自分の心を月城は恥じた。

大紋に優しく手を取られ、妻の絢子が降り立つ。
ミルクのように白く可憐なアフタヌーンドレスは可愛らしい容姿の絢子に良く似合っていた。
後部座席から勢い良くドイツシェパードのカイザーが飛び出し、嬉しげに一声吠えた。
驚くほどに暁に良く似た顔立ちの薫が降り立ち、その後を大紋に良く似た暁人が続く。
…血は争えないな…。
月城は二人を見ると感慨を覚えずにはいられなかった。
薫は暁人とはしゃぎながら玄関の石段まで駆け出す。
カイザーも後に続く。

梨央と綾香はこの二人の美しい少年達が殊の外お気に入りだ。
二人の少年達はややはにかみながら西洋式に頬にキスをして挨拶を交わす。
…玄関の奥から、凛とした足捌きで光が現れると、薫の貌は一転してむすっと不機嫌になった。

光は薫の足元に嬉しそうに座るカイザーを見て美しい眉を顰めた。
「またカイザーを連れてきて…!…他所のおうちに犬は連れてきてはいけないと何度言ったらわかるの?」
…着くなりお小言だ。
薫は膨れっ面のまま、小さく答える。
「…だって、カイザーが追いかけて来たんだもん」
光は薫を厳しい眼差しで見た。
「犬はきちんと躾けないと我儘になるだけですよ。カイザーはもともと頭が良くないのだから尚更厳しく躾けないとならないのに、あなたときたら…!」
「カイザーを馬鹿犬扱いするなよ!」
癇癪を起こした薫に光が強く叱責をする。
「お母様に向って、何て口を利くの⁉︎」

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