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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
石段の上から睥睨するような母を睨みつける。
「カイザーを馬鹿にするヤツはお母様でも許さないからな!」
光の唇が次の叱責を飛ばそうとした時、絢子が慌てて駆け寄る。
「光さん、私が連れて行ってもいいと許可したの。薫さんは悪くないわ」
梨央と綾香も薫を庇う。
「光お姉様、いいじゃない。私は犬は大好きだし、カイザーはおとなしいもの」
「そうよ、光さん。…それに、カイザーはそんなに馬鹿だとは思わないわ。空気を読んで神妙にしているもの。ね?カイザー」
カイザーは元気良く吠えて返事をする。
暁人がくすりと笑う。
菫がパタパタと走り出て、カイザーに抱きつく。
「カイザー!会いたかったわ!カイザーもすみれに会いたかった?」
カイザーは菫の丸い頬をペロペロと舐めた。
礼也が菫の後から現れ、妻を宥めるように優しく肩を抱く。
「…カイザーは家族だ。おいてきぼりは可哀相だと薫は思ったのだよ」
光は溜息を吐く。
「…もう…みんなで薫の味方をして…」
礼也は光を睨みつけている薫を軽々と抱き上げ、笑いかける。
「薫!久しぶりだな。…お前に会えなくて寂しかったよ!少し日焼けして、逞しくなったな」
父が大好きな薫は嬉しくなって抱きつく。
「お父様!お帰りなさい!」
礼也は薫の髪をくしゃくしゃと掻き回し、優しく言い聞かせる。
「お前がカイザーを大切にする気持ちは分かるし立派だ。だが、先ほどのお母様への言葉はいただけないな。お母様には敬意を払わなくてはならない。…お前は本当は素直な良い子だ。…お母様に謝れるね?」
薫は一瞬口を尖らせたが、大好きな父に言われたら嫌とは言えない。
父の腕の中からもそもそと呟く。
「…ごめんなさい、お母様…」
光はふっと小さく溜息を吐くと、
「…もういいわ。カイザーの足を綺麗に拭いてやりなさい。自分でやるのよ。貴方が連れて来たのだから…」
と言い渡し、菫の手を引き中に入っていった。
礼也は優しい目で笑ながら薫に言う。
「できるね?薫」
「うん!」
父の腕から降りると、カイザーに駆け寄る。

月城が薫に近づき、静かに告げる。
「…薫様、井戸にご案内いたします」
薫は月城を見上げて頷く。
「ありがとう、月城!」
月城は薫に微笑み、ふと前を見る。

大紋が絢子と共に中に入るところだった。
何か言いたげな大紋に月城は丁重に頭を下げると、そのまま薫とその場を後にした。




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