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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

暫く薫は月城の端正な貌を見つめていたが、やがて真剣な口調で話しかけた。
「…叔父様は優しいよ?…月城が謝れば許してくれると思うよ」
月城は二人の様子に心配をしている薫の気持ちを嬉しく思い、微かに微笑む。
「…ありがとうございます。…けれど、謝ってすむような…そんな軽々しいことではないのです。…私がしたことは…到底許されるようなことではないのです」
普段は近寄りがたく氷のような美貌を湛えた執事が、弱々しく感情を吐露するのに驚く。
だが大好きな叔父の為に、薫は思い切って助言した。
「じゃあ、尚更謝らなきゃだめだよ!…僕もさっき嫌々お母様に謝ったんだからさ。…月城は暁叔父様が好きでしょう?…だったらちゃんと謝って、月城の気持ちを分かって貰ってよ」
「…薫様…」
月城は驚きに眼を見張る。
「…言わないと分かんないよ…人の気持ちなんかさ。優しくされていたって…どう思っているのか、全然分からない。…僕だって…」
…と、不意に翳りのある表情になる。
「…薫様…?」
はっと我に返ったように首を振り、凛とした表情で月城を見上げた。
「叔父様に会ってあげてよ。…ちゃんと話して謝って…また仲良くしてよ」
「…薫様…」
そしてにやりと笑い悪戯めいた貌になる。
「…月城と叔父様は僕のお手本なんだからさ!」
謎めいた言葉を残し立ち上がる。
「薫!カイザーは洗えた?」
屋敷の中から暁人の声が響く。
「今行く!…じゃあね、月城。
…約束だよ…!」
少年と忠義な犬は、風のようにその場を去って行ったのだった。
「…叔父様は優しいよ?…月城が謝れば許してくれると思うよ」
月城は二人の様子に心配をしている薫の気持ちを嬉しく思い、微かに微笑む。
「…ありがとうございます。…けれど、謝ってすむような…そんな軽々しいことではないのです。…私がしたことは…到底許されるようなことではないのです」
普段は近寄りがたく氷のような美貌を湛えた執事が、弱々しく感情を吐露するのに驚く。
だが大好きな叔父の為に、薫は思い切って助言した。
「じゃあ、尚更謝らなきゃだめだよ!…僕もさっき嫌々お母様に謝ったんだからさ。…月城は暁叔父様が好きでしょう?…だったらちゃんと謝って、月城の気持ちを分かって貰ってよ」
「…薫様…」
月城は驚きに眼を見張る。
「…言わないと分かんないよ…人の気持ちなんかさ。優しくされていたって…どう思っているのか、全然分からない。…僕だって…」
…と、不意に翳りのある表情になる。
「…薫様…?」
はっと我に返ったように首を振り、凛とした表情で月城を見上げた。
「叔父様に会ってあげてよ。…ちゃんと話して謝って…また仲良くしてよ」
「…薫様…」
そしてにやりと笑い悪戯めいた貌になる。
「…月城と叔父様は僕のお手本なんだからさ!」
謎めいた言葉を残し立ち上がる。
「薫!カイザーは洗えた?」
屋敷の中から暁人の声が響く。
「今行く!…じゃあね、月城。
…約束だよ…!」
少年と忠義な犬は、風のようにその場を去って行ったのだった。

