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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

「すみれね、オートミールとたまごのふわふわとかぼちゃのサラダもたべたの、ぜんぶ!あとね、ミルクもぜんぶのんだの!お母ちゃま!」
薄桃色の唇を開いて一生懸命に報告する菫が可愛くて仕方がないように、光はその柔らかな頬に頬摺りをする。
菫のナニーが現れ、にこにこしながら賞賛する。
「お嬢様はとてもお利口でいらっしゃいましたよ。最初から最後まできちんとお椅子にお座りになられていました。お喋りもなさいませんでした。まだ三歳でいらっしゃるのに、ご立派です」
「いい子ね、菫。とってもいい子だわ。…さあ、お母様にキスをして?」
…光は菫に対しては別人のように優しい。
普段のクールな人柄や表情ががらりと変わるほどだ。
9年ぶりに授かった二人目…しかも初めての女の子ということで、溺愛といってもいいくらいに可愛がっている。
薫は別にもう妹にやきもちを焼く歳ではないがしかし菫に対する光の、自分とはまるで違う態度を見ていると白けてくるのだ。
そして、益々光が苦手になる薫だった。
…どうせお母様は菫だけが可愛いんだ。
仏頂面をする薫の背後から泉がそっと、好物の桃のコンポートが盛られた皿を置く。
「…泉…」
泉は優しい眼をして、微笑む。
「今日は良いお天気です。きっと乗馬はさぞ気持ち良いかと存じますよ?」
隣のテーブルから暁も慰めるように囁いた。
「…アレイオンにも好物の林檎を持っていってやろう。きっと喜ぶよ。ああ見えてアレイオンは君が大好きなんだ」
「アレイオンはすごく良い馬だよ。脚は駿足だし。乗りこなせたら、大会で優勝も夢じゃないってお父様が仰っていた。薫が羨ましいよ」
暁人は兄のように誉めそやす。
皆が自分に気を遣ってくれているのが分かる。
薫は仕方なく少し笑って頷き、大人しく桃のコンポートを口に運ぶのだった。
薄桃色の唇を開いて一生懸命に報告する菫が可愛くて仕方がないように、光はその柔らかな頬に頬摺りをする。
菫のナニーが現れ、にこにこしながら賞賛する。
「お嬢様はとてもお利口でいらっしゃいましたよ。最初から最後まできちんとお椅子にお座りになられていました。お喋りもなさいませんでした。まだ三歳でいらっしゃるのに、ご立派です」
「いい子ね、菫。とってもいい子だわ。…さあ、お母様にキスをして?」
…光は菫に対しては別人のように優しい。
普段のクールな人柄や表情ががらりと変わるほどだ。
9年ぶりに授かった二人目…しかも初めての女の子ということで、溺愛といってもいいくらいに可愛がっている。
薫は別にもう妹にやきもちを焼く歳ではないがしかし菫に対する光の、自分とはまるで違う態度を見ていると白けてくるのだ。
そして、益々光が苦手になる薫だった。
…どうせお母様は菫だけが可愛いんだ。
仏頂面をする薫の背後から泉がそっと、好物の桃のコンポートが盛られた皿を置く。
「…泉…」
泉は優しい眼をして、微笑む。
「今日は良いお天気です。きっと乗馬はさぞ気持ち良いかと存じますよ?」
隣のテーブルから暁も慰めるように囁いた。
「…アレイオンにも好物の林檎を持っていってやろう。きっと喜ぶよ。ああ見えてアレイオンは君が大好きなんだ」
「アレイオンはすごく良い馬だよ。脚は駿足だし。乗りこなせたら、大会で優勝も夢じゃないってお父様が仰っていた。薫が羨ましいよ」
暁人は兄のように誉めそやす。
皆が自分に気を遣ってくれているのが分かる。
薫は仕方なく少し笑って頷き、大人しく桃のコンポートを口に運ぶのだった。

