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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

夏の鮮やかな陽射しのもと、馬場には沢山の馬が生き生きと走り回っている。
8月の軽井沢は上流階級の人々が避暑地として訪れるメッカだ。
それぞれが所有する馬を東京から移送し、一夏をこの涼しい避暑地で馬と共に楽しむのだ。
薫は渋々と乗馬服に着替え、馬場にやってきた。
服装に煩い光が一緒なので、乗馬のシルクハットに黒いテイルコートのジャケット、白いブラウス、ブラックタイ、白い乗馬ズボンに黒革のロングブーツという出で立ちだ。
人形のような美貌の薫が正装すると、眼を奪われるような華やかなオーラが生まれ、見慣れているはずの暁人も思わず見惚れてしまう。
薫に馬の騎乗から細やかに世話をするのは暁だ。
暁も今日は燕尾のジャケットをきちんと身に付け、正装をしている。
…こうして薫と並ぶとその清麗な美貌や、ほっそりとした身体つき、優美な雰囲気まで驚くほどに似ている。
暁は三十半ばになるはずだが、およそ二十代半ばにしか見えない若々しく気高い美貌と…そして何より匂うような和えかな色香を身に纏う…どこか妖し気な存在だ。
…それが証拠にすれ違う紳士や淑女がちらちらと暁に眼を遣る。
暁を見るといつもどこか気持ちが落ち着かない…ときめきと切なさと艶めいた感情に襲われる暁人であった。
…それがなぜなのか…未だに分からない暁人ではあるが…。
暁人も愛馬に跨り暁、薫と並び、談笑しながら光を待つ。
暁も馬に乗ってしまえば神妙になる。
元々、動物好きな薫はアレイオンが大人しくしているのなら乗馬もやぶさかではないのだ。
…さもない話をしていると、馬場にいる人々がざわめき立ち、一斉に同じ方向を注目するのが分かる。
厩舎から愛馬に乗った光が辺りを払うような威厳と気品を纏いながら現れたのだ。
…シルクハットを被り綺麗に髪を結い上げた光は美しい正装姿が神々しいまでの見事な貴婦人ぶりだ。
顔見知りの紳士、淑女達が我先に挨拶に訪れる。
光はそれをまるで謁見を許した女王陛下のように気高く、尊厳を持ちながら挨拶を返す。
美しく賢く才能溢れる美貌の男爵夫人の光は社交界でも女王様のような存在だ。
そのドラマチックな結婚からなにからまるで伝説のように語り継がれているし、何より光の華やかな凄烈な美貌、性格、才能、オーラ…そして勝気で気高く人を惹きつけずにはいられないカリスマ性は社交界の人々の憧れの的なのだ。
8月の軽井沢は上流階級の人々が避暑地として訪れるメッカだ。
それぞれが所有する馬を東京から移送し、一夏をこの涼しい避暑地で馬と共に楽しむのだ。
薫は渋々と乗馬服に着替え、馬場にやってきた。
服装に煩い光が一緒なので、乗馬のシルクハットに黒いテイルコートのジャケット、白いブラウス、ブラックタイ、白い乗馬ズボンに黒革のロングブーツという出で立ちだ。
人形のような美貌の薫が正装すると、眼を奪われるような華やかなオーラが生まれ、見慣れているはずの暁人も思わず見惚れてしまう。
薫に馬の騎乗から細やかに世話をするのは暁だ。
暁も今日は燕尾のジャケットをきちんと身に付け、正装をしている。
…こうして薫と並ぶとその清麗な美貌や、ほっそりとした身体つき、優美な雰囲気まで驚くほどに似ている。
暁は三十半ばになるはずだが、およそ二十代半ばにしか見えない若々しく気高い美貌と…そして何より匂うような和えかな色香を身に纏う…どこか妖し気な存在だ。
…それが証拠にすれ違う紳士や淑女がちらちらと暁に眼を遣る。
暁を見るといつもどこか気持ちが落ち着かない…ときめきと切なさと艶めいた感情に襲われる暁人であった。
…それがなぜなのか…未だに分からない暁人ではあるが…。
暁人も愛馬に跨り暁、薫と並び、談笑しながら光を待つ。
暁も馬に乗ってしまえば神妙になる。
元々、動物好きな薫はアレイオンが大人しくしているのなら乗馬もやぶさかではないのだ。
…さもない話をしていると、馬場にいる人々がざわめき立ち、一斉に同じ方向を注目するのが分かる。
厩舎から愛馬に乗った光が辺りを払うような威厳と気品を纏いながら現れたのだ。
…シルクハットを被り綺麗に髪を結い上げた光は美しい正装姿が神々しいまでの見事な貴婦人ぶりだ。
顔見知りの紳士、淑女達が我先に挨拶に訪れる。
光はそれをまるで謁見を許した女王陛下のように気高く、尊厳を持ちながら挨拶を返す。
美しく賢く才能溢れる美貌の男爵夫人の光は社交界でも女王様のような存在だ。
そのドラマチックな結婚からなにからまるで伝説のように語り継がれているし、何より光の華やかな凄烈な美貌、性格、才能、オーラ…そして勝気で気高く人を惹きつけずにはいられないカリスマ性は社交界の人々の憧れの的なのだ。

