この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園

「…親は親、子どもは子どもさ。…君は光様の子どもだけれど、なにも光様みたいに馬術に長けてなくたっていいし、バイオリンが上手くなくたっていい。彼女みたいに社交の名手じゃなくても構わない。…癇癪持ちで根性がなくたっていいじゃないか」
「…それ、本当に褒めてます…?」
途中でモヤモヤし始めた薫は鷹司を睨んだ。
鷹司は高らかに笑うと薫の頭をぽんぽんと撫でた。
「褒めてるさ、もちろん。君のなによりの取り柄はその誰よりも美しく完璧な貌だ。…他はどうだっていいのさ」
「…バカにしてるでしょ⁈僕のこと‼︎」
さすがに眼を剥いて怒り出した薫に噴き出しながら、貌を近づける。
「バカになんかしてないさ。…君は綺麗だ。…その雪より白い肌、長く濃い睫毛、可愛らしい鼻筋、唇は紅玉のように紅い…」
そう言って薫の顎を掴む。
「…ちょっ…ちょっと…‼︎」
暴れようとする薫の抵抗をいとも簡単に封じ込める。
「…本当に綺麗だ…食べてしまいたいほどに…」
鷹司の端正な大人びた貌が睫毛が触れ合う距離まで近づく。
「…鷹司さ…ん!」
…キスされる…⁉︎
…と、身を硬くした時、鷹司はふっと可笑しそうに笑い、掴んでいた薫の肩を解放する。
「…へえ…。意外。…もうキスしたことあるんだね」
「…なっ…⁈」
白い肌を朱に染める薫に艶やかな流し眼をくれながら嘯く。
「…ちょっと悔しいかな」
しかし大して悔しがる風もなく、薫に背を向けるとおとなしく待っている鷹司の馬に向って歩き出した。
そして眼にも鮮やかにひらりと馬に飛び乗ると、あっけに取られている薫に手を差し伸べる。
「おいで。カフェでお茶でも飲もう」
「…え?」
大人びた余裕のある微笑みを浮かべる。
「このままここにいて、またメドゥーサより怖いお母様にしごかれたい?」
薫はぶんぶん首を振る。
「じゃあおいで。美味しいアイスクリームがあるんだ。ご馳走するよ」
「アイスクリーム⁈」
食いしん坊の薫は気がつくと鷹司の革の手袋に包まれた手を握りしめていた。
「うわ…!」
片手で胸元を抱えられた瞬間、薫の身体はふわりと引き上げられ、あっと言う間に鷹司の前に座らされていた。
…まるでお姫様を抱く王子のように恭しく薫を後ろから抱き締める。
鷹司は耳元でそっと囁き、巧みに手綱を引いた。
「…しっかり捕まっておいで。初めてのデートだ」
振り向くと、色めいた眼差しが微笑んでいた。
「…それ、本当に褒めてます…?」
途中でモヤモヤし始めた薫は鷹司を睨んだ。
鷹司は高らかに笑うと薫の頭をぽんぽんと撫でた。
「褒めてるさ、もちろん。君のなによりの取り柄はその誰よりも美しく完璧な貌だ。…他はどうだっていいのさ」
「…バカにしてるでしょ⁈僕のこと‼︎」
さすがに眼を剥いて怒り出した薫に噴き出しながら、貌を近づける。
「バカになんかしてないさ。…君は綺麗だ。…その雪より白い肌、長く濃い睫毛、可愛らしい鼻筋、唇は紅玉のように紅い…」
そう言って薫の顎を掴む。
「…ちょっ…ちょっと…‼︎」
暴れようとする薫の抵抗をいとも簡単に封じ込める。
「…本当に綺麗だ…食べてしまいたいほどに…」
鷹司の端正な大人びた貌が睫毛が触れ合う距離まで近づく。
「…鷹司さ…ん!」
…キスされる…⁉︎
…と、身を硬くした時、鷹司はふっと可笑しそうに笑い、掴んでいた薫の肩を解放する。
「…へえ…。意外。…もうキスしたことあるんだね」
「…なっ…⁈」
白い肌を朱に染める薫に艶やかな流し眼をくれながら嘯く。
「…ちょっと悔しいかな」
しかし大して悔しがる風もなく、薫に背を向けるとおとなしく待っている鷹司の馬に向って歩き出した。
そして眼にも鮮やかにひらりと馬に飛び乗ると、あっけに取られている薫に手を差し伸べる。
「おいで。カフェでお茶でも飲もう」
「…え?」
大人びた余裕のある微笑みを浮かべる。
「このままここにいて、またメドゥーサより怖いお母様にしごかれたい?」
薫はぶんぶん首を振る。
「じゃあおいで。美味しいアイスクリームがあるんだ。ご馳走するよ」
「アイスクリーム⁈」
食いしん坊の薫は気がつくと鷹司の革の手袋に包まれた手を握りしめていた。
「うわ…!」
片手で胸元を抱えられた瞬間、薫の身体はふわりと引き上げられ、あっと言う間に鷹司の前に座らされていた。
…まるでお姫様を抱く王子のように恭しく薫を後ろから抱き締める。
鷹司は耳元でそっと囁き、巧みに手綱を引いた。
「…しっかり捕まっておいで。初めてのデートだ」
振り向くと、色めいた眼差しが微笑んでいた。

