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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
薫が戸惑いつつも口を開いた時、鷹司はさっさと今までの雰囲気を一掃するかのように、色めいた空気を纏いながら京人形のごとく優美な貌を近づけてきた。
「…父親はこの夏も多忙でね。…だから別荘には僕と幾人かの使用人しかいないのさ。ねえ、薫。遊びにおいでよ。…良かったら泊まりに来ない?」
「…へ?」
くちづけされそうに近い距離まで接近され、薫は思わずたじろぐ。
「…広い屋敷の中、二人きりだ。…色んなことを教えてあげるよ。…良いことも…いけないことも…」
鷹司の繊細な指が薫の顎を捉える。
「…君にキスした奴より、もっと気持ちいいことを教えてあげる…そろそろ薫も色んな経験をしてもいい頃だ…。…僕も…初めていけないことをしたのは、君くらいの年だったかな…」
微笑み混じりの滑らかな声が、まるで呪文のように薫を金縛りにさせる。
鷹司の吐息が薫の唇を掠める。
「…た、鷹司さん…」
「…紳一郎だ、薫…」

…鷹司の三日月のように色香の漂う唇が薫の唇に触れそうになったその時…
カフェの入り口で大きな声が響いた。

「薫!」
はっと振り向くと、そこには息せききって駆け込んできた暁人の姿があった。
「暁人?」

鷹司は暁人の姿を認めると、にやりと笑った。
「…ナイトの登場か。…ギリギリセーフだな、お姫様」
今まで見たことがないほどに気色ばんだ表情をして、暁人がつかつかと近づく。
「鷹司先輩、何をなさっているのですか?」
普段穏やかで目上の人には最大限の敬意を払う暁人にはあり得ない無遠慮な言葉だった。
鷹司は楽しそうに暁人を見上げ、両手を広げてみせる。
「…君が想像した通りのことだ」
暁人の端正な顔が引き攣る。
「…薫を揶揄わないでいただけますか?薫はまだまだ子どもなんです」
さすがに薫はむっとして暁人の袖を掴む。
「暁人!なんだよ、僕だけ子ども扱いするなよ!」
「薫は黙ってて。…鷹司先輩は薫のお付きの騒ぎの時に仲裁をしてくださったのに、なぜ薫に手を出そうとされるのですか?」
「暁人!」
鷹司は馬術部の部長で、暁人は入部したばかりの下級生だ。そんな偉そうな口を聞くなんて、許されることではなかった。
暁人の明らかに冷静さを欠いた言動に、薫ははらはらし始めた。

…だが鷹司は露ほどにも気を悪くした様子もなく、にっこりと笑いしなやかに薫を捉えると、頬にキスをした。
「…薫が好きだからさ」






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