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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
月城は暫く優しく暁を抱き締めていたが、ゆっくりと腕を緩め、愛おしいひとの貌を両手で覆う。
夏の日差しの下、透き通るように白く小さな美しい貌が熱っぽい眼差しで月城を見上げる。
月城は思わず情熱を込めて囁く。
「…お会いしたかった…暁様…」
ここ数日は礼也の希望もあり、暁は本家の別荘に戻っていたのだ。
「僕もだ。…明日は離山の家に帰るよ。…兄さんがなかなか離してくれなくて…ごめんね…」
四十を半ば過ぎても、礼也は未だに暁を溺愛している。
暫く貌が見られないと寂しがり、屋敷に貌を出すようにと電話が入る。
…礼也の中では、暁は永遠に14歳のままなのかもしれない…。
やくざ者から救出され、礼也の腕に抱き上げられ…縋るような眼差しをしておずおずとその胸に抱きついた窶れて怯えたいたいけな弟…。
そう思うことが度々ある。

「仕方ありません。…縣様にとって私は最愛の弟様を略奪した憎い相手ですからね…」
やや悪戯っぽく笑う月城の髪を暁はそっと撫でる。
「兄さんは君を認めているし、もちろん嫌ってはいないよ。…ただ、僕のことをご自分以外の人が束縛することを面白く思われないんだ…」
困ったように微笑む暁だが、その笑みはそのことを疎んじてはいない…どこか嬉しげにさえ見えるものだ。

…暁は未だに兄、礼也を慕っているし、愛している。
もちろん性愛の対象としてはもはや見てはいないだろうが、かつては真剣に礼也を愛していたのだ。

…初めてキスした相手は兄さんだ…。
もちろん僕からしたんだけれど…。
その時に初めて性的快感を覚えた…とも、暁は告白した。
…夜の営みの最中にふと漏らしたひとことに月城はじんわりと苦い嫉妬の感情を覚え、そのあとは暁が泣いて懇願するまで、彼をしつこく攻め続けてしまった。

つまり、暁にとって礼也は特別な存在なのだ。
…そして、それは礼也にとっても同じなのだ。
礼也は妻の光を誰よりも愛する誠実な紳士だ。
性的嗜好も至ってノーマルだが、その実…暁だけにはどこか禁断と背徳の匂いがする妖しげな感情を抱いている。
暁を抱きたい訳ではない。
しかし、暁を我がものにして肉体を奪う月城をどこか嫉妬めいた眼差しで見ているのも確かだ。

紳士の縣はそんなことをおくびにも出さない。
…しかし確実に彼の胸には存在する。
紳士の彼にそのような感情を抱かせるほどに、暁の色香は魔性めいたものなのだ。

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