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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
巧みな手綱捌きで颯爽と丘の上の道を駆け上がってきたのは、光であった。
光は二人の前に鮮やかに馬を止めると、やや悪戯めいた笑みで笑った。
「…お邪魔だったかしら…?」
暁は白い頬を染めて首を振る。
「い、いいえ。義姉さん…」
月城は少しも慌てずに手を差し伸べ、光が馬上から降りる介助をする。
「ありがとう、月城」
光は月城の手を握り締めながらしなやかに地面に降り立つ。
そしてその高貴な猫のように勝気にきらきらと輝く瞳で月城を見上げ、妖艶に微笑った。
「お久しぶりね、月城」
月城は光の白魚のように白く美しい手の甲に軽くくちづけする。
「ご無沙汰しております。…光様におかれましてはご機嫌麗しく何よりでございます」
光は上目遣いに月城を見つめ、笑いを漏らす。
「堅苦しい挨拶はいらないわ。私達は古くからの友人でしょう?」
「恐れ入ります」
恭しく一礼する月城はそれでもどこか楽しげだ。

月城は黒い乗馬ジャケットに白地に青いピンストライプのシャツ、白い乗馬パンツに黒革の長ブーツというややラフだが洒落たスタイルだ。
その卓越した美貌といい、スタイルの良さといい…何より優雅で気高い雰囲気が溢れ、さながら貴族の紳士のような風格だ。
対して光は、女王様然とした華やかで威厳のある美しさに光輝き…二人が並ぶと似合いの夫婦のような雰囲気さえ醸し出す。

…二人はかつてほんの少しだけ色めいた関係になったことがあるようだ。
自分の知らない若い二人にあった艶めいたロマンスを想像すると、幼稚なやきもちを焼いてしまう自分がいた。
…義姉さんはお美しくて魅力的だ。月城が惹かれるのも分かる…。
暁は自分でも子どもっぽいと思いながらも、光に対してのやや妬ましい感情を振り払うことが出来ない。


光は暁の複雑な感情には気付かずに、明るく二人に話しかける。
「…私はもっと月城に気軽に屋敷にも来ていただきたいのだけれど…礼也さんがなかなか…。
貴方に嫉妬なさって、意地を張られているみたい。暁さんを取られたと思い込んでいらっしゃるのよ。困ったものだわ」
肩を竦めて笑うが、そこには礼也への温かい愛情が感じられた。
月城は穏やかに微笑む。
「…光様のそのお優しいお気持ちだけで、充分でございます」

…自分以外の人に微笑みかける月城に、暁はついやきもきしてしまう。
そして、そんな自分の狭量さに恥じ入るのだった。


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