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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
暁と月城、そして光が馬場に戻ると、薫と暁人がすらりとした体躯の大人びた端正な風貌の…しかしまだ年若な青年に伴われ、佇んでいた。

薫の姿を認めた光は、表情を引き締めながら馬から降り立つ。
そして険しい貌のまま、薫の前につかつかと進んだ。
「薫、あなたどこに行っていたの⁉︎」
薫がばつが悪そうに口ごもり俯いた時、隣りの青年が光の前に進み出た。
「光様、どうぞお怒りにならないで下さい。薫くんを誘ったのは私です」
光は美しい柳眉を跳ね上げ、青年を見上げた。
「貴方は…」
青年は光に手を差し伸べにっこりと笑い人好きのする…しかし気品溢れる仕草で、光の手にキスをした。
「鷹司紳一郎です。星南学院の高等科二年で、薫くんの先輩にあたります。
…光様には以前、九条子爵夫人の夜会でおめにかかりました。…私を覚えておられますか?」

光はじっと鷹司を見つめていたが、すぐに…ああと合点をいかせ、大輪の花が咲き誇るように笑った。
「鷹司さんね、鷹司公爵のご子息の…。あの夜の貴方には驚かされたわ」
そうして可笑しそうに笑った。
今まで剣呑とした貌をしていた母が突然笑い出したので、薫は驚いた。
暁も意外そうに光を見る。
「義姉さん?」

光はまだ笑みを零しながら説明する。
「…こちらの鷹司さんはね、先日の夜会が初めての社交界デビューでいらしたのよ。もちろんこんなにハンサムで家柄の良いご子息に誘われたい年頃のお嬢様はたくさんいらしたわ。皆、ワルツのお相手を申し込まれるのを待ちわびていらしたはずよ…それなのに…」
鷹司は、ちらりと艶な眼差しで見上げた光をじっと見つめて微笑んだ。
「…私は一番に光様にワルツを申し込んだのです」
「え、ええ〜⁉︎お母様に⁉︎」
薫は驚愕の余り、叫んだ。
鷹司は少しも臆することなく堂々と…どこか夢見るような口調で続けた。
「…最初のワルツは、光様に申し込むとずっと以前から決めていたのです。私は光様を初めて拝見した時からずっと貴女に憧れておりました。
…もし断られたらすぐに帰り、二度と夜会には出席しないつもりでした」
光はその美しく華やかな貌に悪戯めいた表情を浮かべる。
「…困ったお坊ちゃまだわ。そんなことを言われたら断れる訳ないでしょう?」
「申し訳ありません…。けれど私は本気だったのです」
光はたじろぐこともなく、大人の余裕に満ちた微笑みで鷹司を見上げる。





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