この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
その日の縣家の晩餐会に、暁は少し遅れて到着した。
極上の黒いテイルコートにホワイトタイを身につけた暁は、やや急ぎながら…だが礼儀を失わぬように優雅な所作で晩餐室に入り、テーブルの一同に遅れた詫びを述べた。
狩猟の後ということで、今夜は盛大にジビエ料理を楽しむ趣向だ。
テーブルには光、薫、暁人の他に大紋、そして晩餐会に招待された絢子も着いていた。
暁は兄の礼也の席に行き、
「…遅れて申し訳ありません。兄さん」
と密やかな声で告げた。
礼也は暁を見上げ、その白いうなじに残る薔薇色の小さな跡を認め、一瞬やや不機嫌そうな表情をした。
礼也の美しい指先が暁の薔薇の刻印を辿る。
その妖しく艶めいた刻印をそっと撫でる。
暁のしっとりと潤んだ黒い瞳が何かを言いたげに礼也を見つめているのを感じ、ふっと表情を崩した。
そして優しい兄の眼になると、暁の白く透き通るような頬を軽く摘み
「…今夜の狩猟の成果は大猟だったのだ。…彼も晩餐会に誘えば良かったな…」
と笑った。
暁は花が咲き開くように、嬉しそうに表情を崩した。
「…兄さん、ありがとうございます…」
その美しくきらきらと輝くような笑みを見て礼也は、そんな表情をさせる月城にやや嫉妬しながらも、最愛の弟の幸せな様子に安堵するのだった。
極上の黒いテイルコートにホワイトタイを身につけた暁は、やや急ぎながら…だが礼儀を失わぬように優雅な所作で晩餐室に入り、テーブルの一同に遅れた詫びを述べた。
狩猟の後ということで、今夜は盛大にジビエ料理を楽しむ趣向だ。
テーブルには光、薫、暁人の他に大紋、そして晩餐会に招待された絢子も着いていた。
暁は兄の礼也の席に行き、
「…遅れて申し訳ありません。兄さん」
と密やかな声で告げた。
礼也は暁を見上げ、その白いうなじに残る薔薇色の小さな跡を認め、一瞬やや不機嫌そうな表情をした。
礼也の美しい指先が暁の薔薇の刻印を辿る。
その妖しく艶めいた刻印をそっと撫でる。
暁のしっとりと潤んだ黒い瞳が何かを言いたげに礼也を見つめているのを感じ、ふっと表情を崩した。
そして優しい兄の眼になると、暁の白く透き通るような頬を軽く摘み
「…今夜の狩猟の成果は大猟だったのだ。…彼も晩餐会に誘えば良かったな…」
と笑った。
暁は花が咲き開くように、嬉しそうに表情を崩した。
「…兄さん、ありがとうございます…」
その美しくきらきらと輝くような笑みを見て礼也は、そんな表情をさせる月城にやや嫉妬しながらも、最愛の弟の幸せな様子に安堵するのだった。