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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
晩餐会は和やかに楽しく進んだ。
今夜はジビエだ。
狩猟の成果の山鹿や山鴫、果ては野兎などを料理長が腕を振るったのだ。
山胡椒やローズマリーなどフレッシュハーブを使い野趣に富んだローストやパイ包み焼きとして、鮮やかにテーブルに配された。
それらのジビエは新鮮で、その極上の美味に一同は舌鼓を打った。
「…食べきれないほどの収穫だから、明日、北白川家にもお届けしよう。梨央さんや綾香さんもジビエがお好きなはずだからな」
礼也の言葉に暁は嬉しげに微笑んだ。
礼也は口元で小さく笑い返した。

ひとしきり狩猟話に花が咲いたのちは、光や暁、薫や暁人の乗馬の話になった。

「薫、馬はどうだった?アレイオンは少しは慣れたかな?」
和かに尋ねる礼也に薫は口に運んだ山鴫のローストを詰まらせそうになった。
光が美しい瞳で鋭く薫を睨み、礼也には努めて冷静に報告する。
「…私が馬場で指導しようとしたのだけれど…薫は逃げ出したのよ。ちょっと落馬したくらいで。…全く情けないわ」
薫が頬を膨らます。
「落馬くらい…て…!…落馬は痛いし怖いから嫌なんです!…なんで好きでもないのに馬に乗らなきゃならないの⁉︎」
光が柳眉を逆立てそうになったのを、礼也は優しくその手を握り宥め、薫に穏やかに話しかける。
「そうか。薫は馬術が嫌いか。…それは残念だな。では無理に乗らなくてもいい。まずはアレイオンと友だちになってみないか?アレイオンを好きになれば、馬術も好きになるかもしれない」
夫の優しい提案に光は首を振る。
「礼也さん、お優しすぎるわ。だから薫は我儘になるのよ。この子には少し我慢というものを教えなくては…。
…乗馬される暁人さんをご覧になった?フォームもテクニックも12歳とは思えないほどに素晴らしい馬術よ。薫も暁人さんと同じ年で始めたのに…」
…本当に情けないわ…と溜息を吐く光に腹を立てた薫は皿をひっくり返して席を立とうとした。

その前に口を開いたのは暁人だ。
「小母様、薫は馬が苦手なだけで、運動神経は良いし、勘も鋭いんです。馬に慣れたらきっと馬術もあっという間に上達すると思います」
12歳と思えない大人びた、しかも幼馴染みを庇う優しい暁人に光と礼也は感動する。
光は再び溜息を吐く。
「…本当に暁人さんは優しくてしっかりしていらっしゃるわ。きっとお二人が素晴らしい教育をされたのね」










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