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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…私は永遠に君にとって価値のある男でいたいと願うね…」
礼也は光の美しい小さな貌を引き寄せ、頬にキスをした。
皆が二人の仲睦まじさに当てられながらも温かい雰囲気の中、食事が再開された。
薫はとりあえず、母の叱咤が自分に向かなくなったことにほっとし、暁人を見て笑った。
暁人も安堵したように微笑み返した。
下僕達がいつもながらに熱愛しあっている旦那様と奥様に頬を赤らめながら、フレッシュチーズの皿を配り始める。
…暁は先ほど別れた月城のことを考えていた。
厩舎の中で、我を忘れるほどに激しく愛しあった。
気が付いた時には干し草の中で月城に優しく抱かれていた。
…もっともっと月城が欲しかったが、
「暁様のお身体に障ります。…このあと、お屋敷にお戻りにならなくてはなりませんし…」
と言われ、濃厚なくちづけを交わして身体の熱を宥めた。
「…帰りたくないな…」
「私も、帰したくない…」
…貴方を私の腕の中だけに、閉じ込めておけたら…。
月城が熱い吐息混じりに囁き、暁を干し草の褥に深く沈め、その柔らかな唇を貪った。
…屋敷に戻ってからは泉が暁の着替えを手伝った。
暁の透き通るように白い練絹の肌に目を奪われ、泉は思わず手を止めてしまう。
そして、眼を見張る。
…白い肌に紅の花が咲いたような朱の刻印…。
兄の仕業だ…。
泉は苦々しく唇を噛んだ。
その花の刻印を隠すように白いシャツを着せかける。
密着した際に、暁の異国の花めいた薫りがいつもより強く薫った。
…暁と兄との爛れるように濃厚な営みを想像し、身体が熱く滾る。
不意に手を止める泉に、暁が振り返る。
「…どうかしたの?」
その幼気で無垢な表情に胸を締め付けられ、泉は暁を背中から強く抱きしめる。
それは暁を慮るような情愛に満ちた抱擁だった。
「…泉…?」
「…暁様は…幸せ…?」
暁はふっと微笑みを浮かべ、泉の腕を握りしめた。
「…幸せだよ、とても」
柔らかく腕が解かれた。
「…それなら…いいです…」
振り返ると、月城に良く似た端正な…けれどやはり別人な…明るく爽やかな笑顔がそこにはあった。
「…暁様が幸せならいいです」
「…暁様、チーズをお選び下さい」
チーズの盆を背後からしなやかに差し出す泉と眼が合う。
「ありがとう。泉…」
暁は夜に咲く白い花のような儚げな美貌を綻ばせてそっと微笑った。
礼也は光の美しい小さな貌を引き寄せ、頬にキスをした。
皆が二人の仲睦まじさに当てられながらも温かい雰囲気の中、食事が再開された。
薫はとりあえず、母の叱咤が自分に向かなくなったことにほっとし、暁人を見て笑った。
暁人も安堵したように微笑み返した。
下僕達がいつもながらに熱愛しあっている旦那様と奥様に頬を赤らめながら、フレッシュチーズの皿を配り始める。
…暁は先ほど別れた月城のことを考えていた。
厩舎の中で、我を忘れるほどに激しく愛しあった。
気が付いた時には干し草の中で月城に優しく抱かれていた。
…もっともっと月城が欲しかったが、
「暁様のお身体に障ります。…このあと、お屋敷にお戻りにならなくてはなりませんし…」
と言われ、濃厚なくちづけを交わして身体の熱を宥めた。
「…帰りたくないな…」
「私も、帰したくない…」
…貴方を私の腕の中だけに、閉じ込めておけたら…。
月城が熱い吐息混じりに囁き、暁を干し草の褥に深く沈め、その柔らかな唇を貪った。
…屋敷に戻ってからは泉が暁の着替えを手伝った。
暁の透き通るように白い練絹の肌に目を奪われ、泉は思わず手を止めてしまう。
そして、眼を見張る。
…白い肌に紅の花が咲いたような朱の刻印…。
兄の仕業だ…。
泉は苦々しく唇を噛んだ。
その花の刻印を隠すように白いシャツを着せかける。
密着した際に、暁の異国の花めいた薫りがいつもより強く薫った。
…暁と兄との爛れるように濃厚な営みを想像し、身体が熱く滾る。
不意に手を止める泉に、暁が振り返る。
「…どうかしたの?」
その幼気で無垢な表情に胸を締め付けられ、泉は暁を背中から強く抱きしめる。
それは暁を慮るような情愛に満ちた抱擁だった。
「…泉…?」
「…暁様は…幸せ…?」
暁はふっと微笑みを浮かべ、泉の腕を握りしめた。
「…幸せだよ、とても」
柔らかく腕が解かれた。
「…それなら…いいです…」
振り返ると、月城に良く似た端正な…けれどやはり別人な…明るく爽やかな笑顔がそこにはあった。
「…暁様が幸せならいいです」
「…暁様、チーズをお選び下さい」
チーズの盆を背後からしなやかに差し出す泉と眼が合う。
「ありがとう。泉…」
暁は夜に咲く白い花のような儚げな美貌を綻ばせてそっと微笑った。