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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
薫は白い裾の長い寝間着に着替えると、ベッドに飛び乗った。
まるで白いドレスを纏ったような薫は少女めいた美しさに溢れていた。
白地に青のストライプのパジャマという少々大人っぽい姿の暁人は、眩しそうに薫を見上げる。

暁人が薫の別荘に泊まりに来てからずっと、二人は同じベッドで寝ている。
薫の部屋の窓には天井に明かり取りの硝子窓がはめ込まれていて、夏の夜空を彩る宝石のような星座が寝ながらにして見えるのだ。
星座に詳しい暁人が毎晩、星の解説をしてくれる。
それはギリシア神話の物語にまで及び、それを寝物語のように聞きながら、うとうとと寝付くのが薫は何より好きだった。
薫は羽枕を抱き締めながら、暁人にせがむ。
「今夜は何の星座の話し?蠍座の話は面白かったな」
薫の精巧な人形のような美貌が近寄り、暁人は胸の鼓動を抑えるので精一杯だ。

…だが今夜は聞いておかなければならないことがあった。
暁人は改まったように口を開く。
「…ねえ、薫…。今日、鷹司先輩がキスをしただろう?
…どう思った?」
「え⁈…なんだよ、急に」
薫は剣呑とした貌をする。
暁人は慌てる。
「い、いや…あのさ、鷹司先輩、ふざけて薫にキスをしただろう?…嫌だったんじゃないかな…て」
「…別に…キスくらい菫やカイザーとだってするし」
つんと顎を反らせて強がって見せる。
「菫ちゃんやカイザーと、鷹司先輩とのキスじゃ、全然違うだろう!」
「何怒ってるんだよ。暁人がキスされたわけじゃないのにさ!」
「…ご、ごめん…」
しゅんとなる暁人をちらりと見て、
「…別に何とも思わないよ。鷹司先輩はいつもあんな風に僕を揶揄うし…」
さもないように答える。
「い、いつも…て、いつもあんなことされているの⁈」
薫は舌打ちをする。
「されてる訳ないだろう!…先輩は、面白がって構ってるだけさ。…どうやらお母様が好きみたいだし…」
「…あ、あれには僕も驚いた」
薫は腹這いになり、意気込む。
「だろう?…あんなメドゥーサのどこがいいんだ。メドゥーサとワルツを踊るくらいなら、石になったほうがマシさ」
「…ひどいなあ…。小母様は凄く綺麗で近寄りがたいような美人じゃないか」
薫は肩を竦める。
「それを言うなら近寄りたくないメドゥーサ…さ。…ねえ、そんなことより早く星座の話してよ」
薫が暁人をせっついたので、鷹司のキスの話はそれでお仕舞いになったのだ。
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