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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
泉は薫が生まれた時からずっと仕えている元下僕だ。
兄の月城譲りの美しく整った容姿をしているが、月城が月の光に輝くように冷たく冴え渡る美貌ならば、泉は太陽のように明るく温かく周りの人を照らすような陽気な性格の美男子だ。

小さな頃から薫は誰よりも泉に懐いていた。
父親は優しく薫を大変に可愛がってはいるが、仕事柄不在がちだ。
対して母親は厳しく薫を躾ようとした為に、薫は泉を肉親のように慕い、彼が行くところを仔犬のように付いて回っていた。
ハンサムで優しくて兄のように遊んでくれる下僕…。
最初は自分もそんな下僕が欲しいな…と羨ましかった。
しかし、思春期に入る頃から薫が泉を見る眼差しや態度が明らかに他の者とは違うことを感じ始めたのだ。

泉が他のメイドと親しく話していると、途端に機嫌が悪くなる。
わざと呼びつけて我儘を言ったりする。
もう一人でできるはずの着替えも泉を呼んで手伝ってもらったりする。
泉も薫を年より幼く接し甘やかす。
頭を撫でたり、時には抱き上げたり…。
そうすると、薫はまるで好物のアイスクリームを食べた時のように蕩けるような笑顔になるのだ。

そんな二人を見て暁人は、胸の中がちりちりと焼け付くような痛みを覚えた。
…嫉妬なんて醜い感情を持っては駄目だ。
泉は良い執事なのだ。薫を可愛がっているだけだ…と、何度も自分に言い聞かせた。

…だが…
今夜の出来事は暁人の今までの努力と忍耐を根底から覆すものだった。

泉は自分が心から愛する薫を汚した…いや、自分がしたくて堪らなかったことをいとも簡単にやってのけたのだ。
しかも薫に懇願されて…。
遠目でも薫が泉にせがんで身体を弄らせていたのが分かった。
だから尚一層、暁人は泉を憎んだのだ。

…そうだ。自分は泉が憎いのだ。
薫に愛され、薫の身体を自由にする泉が憎くて憎くて堪らないのだ。
暁人は生まれて初めて感じる激しい憎悪の感情に、立っていられないほどの衝撃を受けていた。
漆喰の窓枠に、指が痛くなるほどしがみつく。

…と、廊下から密やかな足音が聞こえた。
端正な大人の足音と…特徴のあるぱたぱたとした軽い足音だ。

…二人が帰って来た!
暁人は素早くベッドに潜り込み、ブランケットを頭から被った。






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